2013 Fiscal Year Research-status Report
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25640063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鎌田 真司 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 准教授 (20243214)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞老化 / DNA損傷 / p53 / 活性酸素 |
Research Abstract |
本研究では、DNA損傷が起きた際の細胞応答機構の一つである細胞老化という現象を分子レベルで解明することを目的とし、細胞老化実行に関与する遺伝子の同定とその機能解析を行った。細胞にDNA二重鎖切断を引き起こす薬剤を処理し、その処理濃度依存的にアポトーシスと細胞老化を誘導後、マイクロアレイ比較解析を行うことによって細胞老化誘導時に特異的に発現上昇する遺伝子を20種類同定し、DDISG(DNA Damage Induced Senescent Genes) 遺伝子と命名した。DNA二重鎖切断による細胞老化誘導にはp53の関与が示唆されているため、p53の有無によるmRNAの発現上昇への影響を調べたところ、野生型p53を持つU2OS細胞では誘導がみられ、p53を欠損しているSaos-2細胞では誘導されない遺伝子を6種類選択した(DDISG1, 2, 3, 7, 9, 12)。更に、DDISG1, 7, 12をコードするcDNAを細胞に高発現させたところ、細胞老化マーカーであるsenescence-associated β-galactosidase (SA-β-gal) 活性の上昇が観察され、DDISG7及び12についてはコロニー形成アッセイにより永続的な細胞増殖の停止を確認した。DDISG7はアミノ酸代謝に関与する酵素であり、ある種のアミノ酸を酸化する際、その副産物として活性酸素種を発生させることが知られている。そこで、DDISG7高発現時の活性酸素の関与を調べたところ、細胞内での活性酸素の上昇が確認され、活性酸素スカベンジャーにより細胞老化が抑制された。以上の結果から、DNA損傷時にはp53依存的にDDISG7が発現誘導され、DDISG7がアミノ酸代謝の副産物として活性酸素を発生させることによって、細胞老化を誘導する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった細胞老化実行に関与すると思われる6種類の候補遺伝子の同定に成功した。6種類全ての遺伝子について解析が終了している訳ではないが、その中のいくつかは実際に細胞内での高発現により細胞老化誘導活性を持つことがわかった。以上のように、これまでの研究は、ほぼ順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化実行に関与すると考えられる6種類の遺伝子について、いくつかは実際に細胞老化誘導活性を有しており、この遺伝子がコードする蛋白質の機能との関連を明らかにすることが必要である。また、逆に高発現によって細胞老化を抑制する活性を持つ遺伝子もあり、詳細な解析が必要である。更には、候補遺伝をノックダウンした場合の細胞老化への影響を調べることによって、これら遺伝子の細胞老化に於ける役割を確立させたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金は、平成25、26年度の2年間が助成期間となっています。当研究室は潤沢な研究資金に恵まれておらず、また、平成26年度に新たな助成金が得られる保証もありませんでしたので、常に節約を心がけながら使用してきました。また、小額ではありますが、大学より支給される公費、大学院生指導に対する経費等もあり、これらは年度限りの使用であるため、これらの資金から優先的に使用した結果、当該助成金に次年度使用額が生じることになりました。 研究費を節約をしながら研究を進めてきましたが、「研究実績の概要」にもありますように、研究はほぼ順調に進んでおり、特に使用計画の変更は考えておりません。ただ、昨年度よりも多少高額の試薬等であっても、飛躍的な成果が得られると考えられれば購入するなど、助成金を有効に使用する予定です。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Cyclin I is involved in the regulation of cell cycle progression.2013
Author(s)
Nagano, T., Hashimoto, T., Nakashima, A., Hisanaga, S., Kikkawa, U., and Kamada. S.
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Journal Title
Cell Cycle
Volume: 12
Pages: 2617-2624
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A positive role of mammalian Tip41-like protein, TIPRL, in the amino-acid dependent mTORC1-signaling pathway through interaction with PP2A.2013
Author(s)
Nakashima, A., Tanimura-Ito, K., Oshiro, N., Eguchi, S., Miyamoto, T., Momonami, A., Kamada, S., Yonezawa, K., and Kikkawa, U.
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Journal Title
FEBS Lett.
Volume: 587
Pages: 2924-2929
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Branched-chain amino acids enhance premature senescence through mammalian target of rapamycin complex I-mediated upregulation of p21 protein.2013
Author(s)
Nakano, M., Nakashima A., Nagano, T., Ishikawa, S., Kikkawa, U., and Kamada, S.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 8
Pages: e80411
DOI
Peer Reviewed
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