2014 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ幹細胞の維持と分化に関わる分子ネットワーク解析と治療標的の探索
Project/Area Number |
25640068
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 令江 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (80253722)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリオーマ幹細胞 / 融合プロテオミクス / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
近年Glioma幹細胞(GSC)の存在が示されこれを標的にした新たな治療の創出が期待されている。しかしGSCの分子情報は非常に限られているため, 治療ターゲットの開発は困難を極めている。本研究では, マウス脳内頭蓋移植により悪性グリオーマを形成するGSCクローンを用いて, 融合プロテオミクス解析法により, 分化に伴い発現変動する分子ネットワークを検索した。その結果, iTRAQ法およびDNA microarrayで定量的に有意な20,752分子を同定し, 分化誘導によって変動する1,458分子を抽出した。Gene Ontology (GO) 解析およびネットワーク解析の結果, GSC分化刺激によってECMの分泌とインテグリン等の接着分子発現が亢進し、integrinを介したMAPK-PI3Kシグナルが亢進して増殖と分化を誘導することが判明した. また通常GSCは分化誘導前の幹細胞状態では, 抗がん剤に対して抵抗性を示すが, 分化スイッチが入ることにより分化初期状態で抗がん剤感受性に転じることを明らかにした. 更に、細胞モデルおよび同所性移植マウスモデルを用いて, ECMと接着因子との結合阻害剤RGDペプチドおよびインテグリン抗体を作用させることで, GSCの接着・分化, 増殖は抑制され, GSCは分化初期状態に留まった状態で抗がん剤TMZ 感受性に転じ、移植マウスの生存を顕著に延長させることを明らかにした. これらの結果から, GSCは分化誘導刺激により分化に必要なECMを自己分泌し, これらのレセプター (integrin family等) 分子群を制御することで, 細胞自らが分化するための特異的な微小環境(分化ニッチ)を形成し, 分化誘導を促進することが示唆された. 分化ニッチを含めた分化スイッチングシグナルは新しい治療ターゲットとして有用である可能性が高い。
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Remarks |
日本プロテオームデータベースセンター(荒木令江代表)を設立し、本プロジェクトの融合プロテオミクスデータを世界初のがん幹細胞融合プロテオミクスデータセットとして登録した。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Translationally Controlled Tumor Protein is a Novel Biological Target for Neurofibromatosis Type 1 (NF1)-associated Tumors.2014
Author(s)
Kobayashi, D., Hirayama M., Komohara, Y., Mizuguchi, S, Wilson Morifuji, M. Patrakitkomjorn, S, Ihn, H., Takeya, M, Kuramochi, A., and Araki, N*.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 289(38)
Pages: 26314-26
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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