2013 Fiscal Year Research-status Report
抗がん幹細胞完全ヒトモノクローナル抗体単離法の開発
Project/Area Number |
25640075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
磯部 正治 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70211050)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒトモノクローナル抗体 / 大腸がん / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
近年、癌治療の重要な標的として、がん幹細胞に注目が集まっている。腫瘍組織中にごく少数存在し自己複製能力を持つがん幹細胞は、わずか数個で元の腫瘍組織と同様の腫瘍を形成する。しかし、がん幹細胞は、癌組織中にわずかしか存在しないことから、がん幹細胞に対する有効なマーカーや治療薬の開発が阻まれてきた。われわれは、ヒトの抗体産生単一細胞から効率的に抗体遺伝子を単離し、発現ユニットに組込み、培養細胞で発現させることで、目的とする抗体をわずか5日間で単離する、世界最速の完全ヒトモノクローナル抗体迅速単離システムを有している。本研究では、このシステムを用いて大腸がん患者由来の抗体産生細胞からヒトモノクローナル抗体を大規模に単離し、その中から、がん幹細胞との結合能を示す抗体の取得を行った。スクリーニングには大腸癌細胞株中に存在するCD44あるいはCD133陽性細胞をセルソーターによって分取し、それらの細胞に対する結合性を指標にヒトモノクローナル抗体を探索した。その結果、CD44陽性細胞に対する結合性を示す複数のモノクローナル抗体の単離に成功した。これらの抗体を用いて抗体単離に用いた大腸がん患者由来組織切片に対する染色性を解析したところ、得られた抗体はいずれも、CD44陽性細胞のみならず大腸がん組織に対しても同様に、結合性を示すことが明らかとなった。この結果は、得られた抗体を治療用に応用する場合、がん細胞とがん幹細胞の両者を同時に標的とすることができる可能性を示唆していることから、次年度はこれらの抗体が認識する抗原の同定を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画ではがん患者由来の抗体産生細胞からのヒトモノクローナル抗体の大規模単離を計画していたが、計画通りの抗体取得を達成した。またこれらの抗体ライブラリーの中からCD44陽性大腸癌細胞に対する結合性を示す抗体の単離にも成功したことから、本年度の研究は予定通り達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度の研究を継続することで、さらに多種類の抗体単離を進める。またがん幹細胞との結合性を示す抗体が認識する抗原を明らかにするため、タンパク質アレイを用いて抗原候補の絞り込みを進めると共に、抗原を発現する大腸がん細胞株を用いて免疫沈降法ならびに質量分析を行うことで抗原の同定を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度得られた抗体が認識する抗原を同定するため、次年度は高額なタンパク質アレイを用いた解析と多数の質量分析とを計画している。その研究費を捻出するため、本年度の研究経費で節約を行った。 次年度に高額なタンパク質アレイを用いた解析と多数の質量分析を行う。
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[Journal Article] Cells of origin of squamous epithelium, dysplasia and cancer in the head and neck region after bone marrow transplantation2014
Author(s)
Y. Kano, H. Ishii, M. Konno, M. Yamasaki, H. Miyata, S. Nishikawa, A. Hamabe, H. Ogawa, H. Takahashi, K. Ohta, S. Hasegawa, K. Tanaka, T. Fukusumi, M. Otsuka, K. Kawamoto, N. Haraguchi, R. Fujimoto, M. Isobe, Y. Tomita, N. Matsuura, S. Takiguchi, M. Mori and Y. Doki
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Journal Title
Int J Oncol
Volume: 44
Pages: 443-450
DOI
Peer Reviewed
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