2014 Fiscal Year Research-status Report
翻訳後修飾シグネチャによる革新的肺がん分子病態診断法の開発
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25640076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 聖 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20372112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / プロテオミクス / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最新のプロテオミクス技術とバイオインフォマティクス技術を最大限に活用して、タンパク質活性制御の根幹をなす翻訳後修飾の精密定量法開発を推進し、極めて予後不良な肺がん症例の飛躍的な生存率向上の実現に貢献する翻訳後修飾シグネチャの同定を目指し、既存の検査法とは全く異なる次世代型高精度分子診断法の確立を目指している。 前年度までに、肺癌手術摘出組織173検体を対象として、タンパク質標識技術と質量分析装置を応用して行った網羅的かつ定量的なタンパク質発現解析結果と、術後再発期間を含む詳細な臨床情報を基盤として、バイオインフォマティクス解析を進めた結果、肺癌の術後再発期間と関連性を認める500種類以上のタンパク質を同定している。本年度は、これらの肺癌術後予後関連タンパク質を対象として、非標識のタンパク質精密定量解析系(MRM: multiple reaction monitoring)の構築を進めた。この過程では、個々のタンパク質に特有の解析メソッドの設定が、精密な定量を遂行するために極めて重要であるが、我々は、取得したタンパク質発現プロファイルをデータベース化し、保存情報を活用することにより、これらの標的タンパク質に対する解析メソッドの設定を全て完了した。 さらに、設定したメソッドを応用した新たな解析法を用いて、肺癌術後再発期間との関連性が極めて高い30タンパク質を対象とした予備解析を遂行した結果、取得されたタンパク質発現情報と術後再発期間との関連性が認められることを確認している。次年度は、統計学的に診断精度の有用性評価を行うのに十分な検体数を用いて、精密定量解析を継続的に推進する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺癌術後再発期間と関連性の深いタンパク質群を対象とした、質量分析技術を応用した精密定量解析系の構築を進めることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的である、肺癌術後再発期間と関連性の深いタンパク質の精密解析系の構築を進め詳細な発現情報を取得し、その結果に基づいたバイオインフォマティクス解析を推進することにより、新たな肺癌分子診断法確立基盤を構築することを目指していく。
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Causes of Carryover |
極めて高い有意性を認める肺癌術後再発期間関連タンパク質を見出すことに成功したことから、それらを対象とした予備解析を優先的に進めたため、他のタンパク質群に対する解析を次年度に推進する必要が認められるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
肺癌術後再発期間の判別精度向上を目指して、関連タンパク質群の解析対象数を拡大し検討を進める計画である。
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[Journal Article] Lung adenocarcinoma subtypes definable by lung development-related miRNA expression profiles in association with clinicopathologic features.2014
Author(s)
Arima C, Kajino T, Tamada Y, Imoto S, Shimada Y, Nakatochi M, Suzuki M, Isomura H, Yatabe Y, Yamaguchi T, Yanagisawa K, Miyano S, Takahashi T.
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 35
Pages: 2224-31
DOI
Peer Reviewed