2013 Fiscal Year Research-status Report
癌におけるDNAメチル化の生理的・病理的意義の再検討と臨床応用への模索
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25640079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
丸山 玲緒 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60607985)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 大腸癌 |
Research Abstract |
初年度は本研究の大前提となる仮説を検証するべく、まず現在利用可能なゲノムワイドなメチル化データをできる限り多く収集し、その解析を行うためのプラットフォームの構築を行った。特にENCODEプロジェクトで公開されているRRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing)データやTCGA(The Cancer Genome Atlas)で公開されているメチル化アレイデータ(Infinium Human Methylation 450k)を詳細に解析し、大腸癌で普遍的にメチル化されている領域とそのゲノム上における分布様式を明らかにした。それらの解析データを詳細に検討した結果、おそらくこの普遍的なDNAメチル化減少にはクロマチン高次構造の変化が関与しているものと推測された。その予備的知見を基にさらに他種類のオミックスデータを統合解析し、その生理的・病理的意義に関しての仮説を構築することを試みている。次にこの仮説を検証する細胞モデルを確立するための準備としてゲノム編集や細胞不死化の予備的実験を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた、癌化の過程で必ずメチル化を起こすようなゲノム上の特定の領域をデータ解析により同定する、という点は達成できた。次の段階である機能的検証を行うためのモデル実験系の構築という意味では、予備的な実験が進められており、本年度に更に本格的な解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は癌におけるDNAメチル化の生理的・病理的意義を探るべく、細胞モデルを用いて機能的な実験を進めていく。すなわち初年度の解析によって同定された「癌化の過程で必ずメチル化を起こすような候補領域」に焦点を当て、適切な細胞に種々の刺激を加えた際に、実際にその候補領域にメチル化が誘導されるかどうかを検証する。そのような誘導系を構築しそれをモニターする手段を確立した後に、DNAメチル化を誘発する因子を同定し、更にはそこに関与する重要な分子の候補を同定することを目指す。そこで得られた知見を基に、既存の臨床検体データや公共データベースを再度解析しなおしてみることを試み、その知見と臨床病理学的特徴、他の遺伝子異常(KRASやp53の変異等)との関連、CIMP表現型との関連、治療反応性や予後との関連を調べ、これが臨床的に有用な分子マーカーとなりうるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は公共データベースや自施設にこれまで蓄積された臨床データの解析、バイオインフォマティクスによる解析を中心に行ったため、助成金に未使用額が生じた。また予備的実験に関しては、培養細胞や実験試薬等他の研究プロジェクトと共用のものを使用することが可能であったため、本助成金はより特異的なものに使用するべく、次年度に繰り越すこととした。 次年度はその助成金と合わせ、細胞の高次培養、遺伝子導入、ゲノム編集、DNAメチル化パターンの網羅的な解析等に必要な経費として使用する。また一部を実験補助員への謝金として使用し、研究の迅速な進展を目指す。
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