2013 Fiscal Year Research-status Report
定量プロテオミクスを解析基盤とした腫瘍標的分子の網羅的探索
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25640080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテーム / 癌 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
本研究は2DICAL法という無標識サンプル間比較解析が可能な定量性プロテオミクス解析システムを構築し、癌臨床検体の網羅的解析を行うことを目的としている。この目的達成のため、様々な癌細胞株を用いて、2DICAL法による質量分析測定を行った。また我々が現在焦点を当てて研究を進めているいくつかのリン酸化酵素について、2DICAL法を用いて会合分子の単離やリン酸化部位の同定を試みた。興味深いことに、その一つであるDYRK2というキナーゼに対する基質分子候補が多数同定されており、そのいくつかについて現在精力的に機能解析を進めている。さらにDYRK2によって惹起されるp53のリン酸化依存的に誘導される分子としてアンフィレグリン(AREG)を同定したが、その細胞死への関与が不明であったため、AREGの会合分子を2DICALによって探索した。するとその一つとしてRNAヘリカーゼであるDDX5を単離することに成功した。この会合の意義とその機能を解析したところ、AREGはDDX5やDroshaと複合体を形成し、miRNAのプロセシングに関わっていることが判明した。さらにこのプロセシングによって成熟したmiRNAが産出されることで、抗アポトーシス分子の発現を抑制しアポトーシスを誘導しているという複雑かつ巧妙な仕組みを明らかにした。今後はこのような個々の分子の解析のみならず、臨床検体の網羅的発現解析も順次進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌細胞株を用いた2DICAL法による質量分析測定を行い、その検出感度の検証や新規会合分子を多数同定しており、予備実験は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞株を用いた2DICAL法による質量分析測定による予備実験をふまえて、臨床検体を用いたさらなる発現解析を進めるとともに、癌の診断・治療に繋がる可能性があるマーカー分子の同定を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文発表に要する立替払い経費が発生したが、年度末であったため当該年度の残された予算では支払えないことが判明し、次年度に繰り越したため、結果として次年度使用額が生じた。 本研究の遂行に必要な消耗品を購入すると共に、得られた結果の論文発表に要する経費を予定している。
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Research Products
(7 results)