2013 Fiscal Year Research-status Report
チアカリックスアレーン類縁体の抗がん作用とがん細胞の細胞周期進行に与える影響
Project/Area Number |
25640087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
夏井 美幸 秋田大学, 医学部, 助教 (60227527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チアカリックスアレーン / 抗がん剤 |
Research Abstract |
チアカリックスアレーンは架橋部位に硫黄元素を有する環状化合物で、金属イオンとの親和性が高く、容易に包接することができる。本研究では、チアカリックスアレーン-金属複合体の合成と抗がん作用を検討すること、さらにチアカリックス[6]アレーンへキサスルホン酸(TC6AHS)類縁体が細胞周期の進行に与える影響を調べることを目的としている。平成25年度は、①抗がん作用の強いチアカリックスアレーン-金属複合体作成を目指した種々金属イオンとの複合体合成とその評価、②抗腫瘍効果を示すチアカリックス[4]アレーンテトラスルホン酸-カドミウム複合体(TC4ATS-Cd)合成の効率的な反応条件の検討を行なった。 ①ランタノイド金属であるガドリニウム(Gd)およびジスプロシウム(Dy)とTC6AHSとの金属複合体を合成し、活性評価を行なった。活性評価は、T細胞性白血病細胞株Jurkatに対する48時間後の細胞毒性をMTT法によって測定した。TC6AHS、GdCl3、DyCl3の細胞毒性IC50値がいずれも100 uM以上であったのに対し、Gd複合体およびDy複合体のIC50値はそれぞれ70 uMおよび90 uMだった。いずれの複合体も親化合物であるTC6AHSや塩化物塩と比較して強い細胞毒性を発揮したが、TC4ATS-Cdの7 uMというIC50値と比べて弱いものだった。 ②これまでのTC4ATS-Cdの合成は等モルのTC4ATSとCd2+塩を水中で反応させ、有機溶媒中で再結晶させた複合体を回収していた。今回、効率的な複合体形成を目指し、反応条件の検討を行なった。複合体形成の確認はUVスペクトルおよび1H-NMRスペクトルの変化で追跡した。その結果、複合体形成の至適条件がアルカリ条件下であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに数種類のチアカリックスアレーン-金属複合体を合成し、活性評価を進めている。比較検討の結果、TC4ATS-Cdの抗増殖活性が最も強かったことから、本複合体の効率的な合成反応条件の検討を行ない、合成反応における至適pHを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の研究実施計画通り、TC6AHS類縁体を合成し、細胞周期の進行に与える影響を調べていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に行なったチアカリックスアレーン-金属複合体の合成に掛かる物品費が当初の計画ほど掛からなかったため、次年度使用額が生じた。 平成25年度に発生した次年度使用額は、TC6AHS誘導体合成および活性評価のための物品費(設備備品費・消耗品費)として使用する予定。
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