2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウスコロナウイルスによる腫瘍融解を目的とした細胞標識アダプターの開発
Project/Area Number |
25640096
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松山 州徳 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (90373399)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | MHV |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスのコロナウイルス(マウス肝炎ウイルス、MHV)を腫瘍融解性ウイルスとして利用するための、基礎的研究をおこなった。これまで腫瘍溶解性ウイルスには、ワクシニアウイルス、センダイウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルスが採用され研究されている。本研究はこれにMHVを加える試みである。腫瘍融解を目的とした新たなウイルス種を開発することは、用途に応じた使い分けの選択肢を増やすことにおいて、価値があると思われる。MHVは、細胞侵入のレセプターとして免疫グロブリンスーパーファミリーに属するCEACAM1aという糖蛋白を利用する。CEACAM1aはMHVへの結合特異性が高く、レセプター機能をもつ部位が74アミノ酸と比較的小さい上に、熱変性した後でもウイルス結合能を維持するという特徴をもつ。本研究計画では、CEACAM1aの特徴を利用して、細胞とウイルスの間に入り様々なヒト細胞へのMHV感染を可能にする「細胞標識アダプター」を作成を試みた。まず、CEACAM1aの中でウイルスレセプターとしての機能の最小単位を解析し、N末端74アミノ酸部分に強いMHV結合活性が認められた。当初はもっと小さい分子に活性が認められるを期待したが、実際はこれまで報告されてきた74アミノ酸部位よりも小さくすることはできなかった。続いて、IgGにCEACAM1aの74アミノ酸を固定した、「細胞標識アダプター」を作成した。このアダプターを培養細胞に添加し、もともとレセプターの無い細胞にMHVの感染を試み、MHVを腫瘍溶解性ウイルスとして利用するための可能性を探った。現在までに効率の良いアダプターの作成には至っていない。
|