2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液中に存在する腸内常在性細菌種の特定とその特徴解明
Project/Area Number |
25640105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 正平 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70175537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70257294)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 細菌叢 / メタゲノム / 常在菌 / 唾液 / 無菌マウス |
Research Abstract |
本研究では、ヒト唾液中に含まれる腸内常在性細菌の特定とその機能的特徴の解明を行った。具体的には、成人被験者の唾液細菌叢を投与して作成したノトバイオートマウスの糞便中の細菌叢を16S rRNA遺伝子解析し、マウス腸内で安定に常在する細菌叢の菌種分類解析を行った。また、これら細菌叢のメタゲノム解析よりそれらが有する遺伝子(機能)の特徴を投与した唾液細菌叢との比較から解析した。さらに、これらノトバイオートマウスの免疫細胞の増減を調べた。様々なヒト唾液細菌叢を投与して作成したノトバイオートマウスを通常食で飼育し、経時的にその糞便を採取し、その細菌叢の16S遺伝子をロシュ社454GSで解析した。 その結果、投与後約4週間以降において、20~30菌種が安定に常在することが分かった。一方、ヒト糞便細菌叢を投与したマウスでは、同一条件下で120菌種以上が常在した。これらの結果は、ヒト糞便にくらべてその数は有意に少ないが、ヒト唾液中にはマウス腸管に常在できる細菌が存在することを示した。これらの常在性細菌のうちで、有意に優占する複数の細菌種を特定することもできた。メタゲノム解析からは、腸内常在性の細菌叢には、投与した唾液細菌叢と比較して、炭水化物代謝に関わる遺伝子群が有意に豊富に存在することと、酸化ストレス耐性に関わる機能が有意に減少することが分かった。大腸の粘膜固有層における炎症性T細胞をフローサイトメトリーで解析し、無菌マウスとの比較において、いくつかの唾液投与マウスではTh17細胞やTh1細胞が有意に惹起されることを見いだした。さらに、これらT細胞の誘導と強い相関をもつ細菌種をクラスター解析により特定することができた。 以上の結果から、ヒト唾液細菌叢には腸内常在性をもつ細菌種が潜在することと、その中には宿主の免疫系に作用する細菌が含まれることが強く示唆された。
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