2015 Fiscal Year Research-status Report
希少動物由来の培養細胞バンクとiPS細胞樹立の試み
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25640117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 智一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40321640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 美穂 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60293552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 / 培養細胞 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はアカウミガメ由来の初代培養細胞の樹立に成功した。加えてレンチウィルスを用いてヒト由来変異型サイクリン依存性キナーゼ4, サイクリンD, ヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子を入れることで細胞サイズが著明に小型化し、細胞分裂が加速されることを見出した。このことは爬虫類においても我々が適用した無限分裂化細胞技術が適用できる可能性を示している。現在、連続的な細胞培養を行い、無限分裂化に至っているかどうか検討中である。しかし、爬虫類由来の細胞の場合、細胞分裂が哺乳類と比較して遅い上、当初予想されるよりも長い期間(20世代以上)細胞の継代が可能となり、1年を越す連続培養実験を実施中である。染色体パターンを検出した結果、元の正常核型を維持したまま、無限分裂に至っていることが明らかになった。またウェスタンブロットによって導入した遺伝子の蛋白質レベルでの発現を検出した。また、得られた無限分裂細胞は核型解析の結果、元の正常核型を維持したまま、無限分裂に至っていることが明らかになった。 iPS細胞化を行うために、山中4因子(Oct3/4, Klf4, Sox2, c-Myc)に加えてLin28およびNanogを加えた発現ベクターを導入した。遺伝子導入が行われたことは、下流に設置した蛍光蛋白質マーカーの発現によって検出されたが、iPS細胞のように小型化した細胞の出現はなく、元の線維芽細胞からの形態変化は認められなかった。このことは爬虫類では多能性幹細胞を維持する機構が進化上、保存されていない可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
爬虫類の培養細胞の分裂速度が予想されたよりもかなり遅く、連続継代実験に長い期間を必要としている。通常、哺乳類の細胞では3-1週間の培養期間で細胞の継代が可能であるが、爬虫類細胞の場合、2-3週の培養期間が1回の継代で必要である。現在、論文投稿中であるが1年を超える細胞継代実験を要求されており、その要求を満たすために時間が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した変異型CDK4, Cyclin D, テロメラーゼ酵素サブユニットを導入した細胞に関して、連続的な細胞継代を進め、無限分裂に至っているかどうか検討を行う。加えて核型解析を行い、長期培養を行った場合でも元の染色体パターンが保持されているか明らかにする。
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Causes of Carryover |
爬虫類の培養細胞の分裂速度が予想されたよりもかなり遅く、連続継代実験に長い期間を必要としている。通常、哺乳類の細胞では3-1週間の培養期間で細胞の継代が可能であるが、爬虫類細胞の場合、2-3週の培養期間が1回の継代で必要である。現在、論文投稿中であるが1年を超える細胞継代実験を要求されており、その要求を満たすために時間が必要となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養実験に必要な消耗品に使用する。具体的には、細胞培養用血清、細胞培養用シャーレ、ピペット、細胞数測定用消耗品に使用する。
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