2013 Fiscal Year Annual Research Report
フリーズドライ技術による哺乳類体細胞の常温長期保存に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25640121
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (00532160)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 凍結乾燥 / 哺乳動物体細胞 / 遺伝資源保存 |
Research Abstract |
本研究では、ウシ線維芽細胞を供試し、トレハロースおよびエピガロカテキンガレート (以下、EGCG ) の培養液への添加がFD後の細胞の保存性に与える影響を検討した。 ウシ耳片から樹立した線維芽細胞を供試し、10% FCS添加DMEM培地に0.2Mトレハロースおよび10 μM EGCGを添加した区 (以下、ET)、トレハロースを添加した区 (以下、T)、および無添加区 (コントロール区;以下、C) でそれぞれ培養した。FD直後、-30 ℃、4 ℃および室温で1週間保存した後に、DNA損傷細胞数をアルカリコメットアッセイ法によって計測した。また、FD前後のETおよびCの細胞内部構造を透過型電子顕微鏡によって観察した。さらに、非晶質物質の安定性を評価するために、FD後の細胞を含む乾燥物のガラス転移点を示差走査熱量分析によって測定した。 ET、TおよびCにおけるDNA損傷細胞の割合は、FD直後ではそれぞれ、8.7%、6.7%および2.5%であった。-30 ℃保存では、それぞれ5.5%、6.5%および13.0%であった。4 ℃保存では、それぞれ13.3%、16.7 %および16.5%であった。一方、室温で保存した場合、それぞれ44.0%、97.5%および100%となり、ETと他の区との間に有意な差が認められた (P<0.05) 。FD後、細胞膜の損傷、ミトコンドリアの収縮等が認められたが、核膜および核の形態は正常であった。ETおよびCにおけるガラス転移点は、FD直後では-29.1 ℃および-37.8 ℃、室温保存では-9.4 ℃および-9.9 ℃となった。以上の結果より、細胞培養中のトレハロースおよびEGCG添加は、細胞膜および細胞小器官の保護に対して効果がないと考えられた。しかし、トレハロースおよびEGCG添加によってFD後、ガラス転移点よりも高い温度で保存しても核の損傷が抑制され、室温での保存の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)