2013 Fiscal Year Research-status Report
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25650001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 洋太 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20260622)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロマチン / 揺らぎ / モノユビキチン化 / ヒストンシャペロン |
Research Abstract |
生命の柔軟性・可塑性の細胞レベルでの一つの分子基盤がクロマチン構造上の“ゆらぎ”にあると考え、 “ゆらぎ”をひきおこすヒストン修飾とそれを一定方向に推進させ新たな状態に遷移させる因子の存在を仮定した、「2段階のゆらぎ」の存在を考える仮説を考えた。その仮説に基づき“ゆらぎ”を生み出す分子基盤とその“ゆらぎ”がクロマチン動態、遺伝子発現に与えるインパクトの解明を目指す。本仮説では「小さな“ゆらぎ”」はヒストンのモノユビキチ化が関与すると考え、「大きな“ゆらぎ”」にはヒストンシャペロンFACTの関与を想定している。これはFACTがヒストンH2A/Bの脱着をおこない、おおきな自由度をもつ6量体あるいは4量体ヌクレオソームをつくることができるためである。 本年度はゆらぎ制御の標的遺伝子の選定をめざした。ゆらぎ制御を受ける遺伝子ではゆらぎの現象によりその転写が低下することが予想される。そこでモノユビキチン化に働く、rhp6破壊によって発現変動する遺伝子を、トランスクリプトーム解析を行い検索した。その結果、rhp6破壊により発現が減少するいくつかの候補遺伝子の選出に成功した。 また、FACTに関しては、ヘテロクロマチン領域においてFACTの欠損により6量体あるいは4量体とおもわれるヌクレオソームが出現し、遺伝子の抑制状態が解除されることを見いだした。これは上記仮説の逆の反応をFACTが遂行していることを示唆している。またヒストンユビキチン化酵素rhp6破壊株ではヘテロクロマチンの転写抑制状況が強化され、ユビキチン化は想定通りクロマチン構造を緩める方向に機能する事が示唆された。これらの結果から、FACTはヒストンのユビキチン化の程度に応じてH2A/H2Bの出し入れを行う可能性が浮かびあがった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初25年度中に 1)rhp6破壊株でのトランスクリプトーム解析とH2Bモノユビキチン化抗体を用いたChIP-sequencingによる、モノユビキチン化により制御をうける遺伝子の同定。 2)1)で選別した遺伝子におけるクロマチン構造変化の解析 の二つの解析をおこなうよていであった。1)のトランスクリプトーム解析は順調に解析が進み予定の結果を得たが、ChIP-sequencingのために必須のモノユビキチン化抗体の質がわるいために解析がすすまず、その段階で解析が停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、良質のH2Bモノユビキチン化抗体を得てChIP-sequencingをおこなう。そのために抗体を我々の手で作成することも試みる。ChIP-sequencingで標的遺伝子を選別した後に、予定通りMNase-qPCR法を用いてクロマチン構造の揺らぎ状態の解析をおこなう。 以上の解析と平行して、当初予定していた、他のヒストン修飾とモノユビキチン化の相関関係の解析、及び、 ヘテロクロマチン拡張へのモノユビキチン化、FACTの影響を解析し、2段階揺らぎ仮説を検証する。 一方、ヘテロクロマチンでのユビキチン化、FACTの影響を見いだしているので、この二つの因子がヘテロクロマチン領域のクロマチン構造制御においてどのような関係にあるのか、二重破壊株の作成や、ヒストンH2A/Bの過剰発現など、分子遺伝学的なアプローチで解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では、H2Bモノユビキチン化抗体を用いたChIP-sequencingを行う予定であったが、抗体の質がわるいため、免疫沈降がうまくいかず、実験が行えなかった。そのためChIP-sequencingの試薬代に計上していた予算をつかわず、次年度使用額が生じた。 上記ChIP-sequnecingは本年度中に良質の抗体を獲得あるいは作成して行う予定で有り、前年度から繰り越された予算を用いて必要な試薬を購入する。また、これと平行して他の諸実験は予定通りに遂行する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Spt6 prevents transcription-coupled oss of posttranslationally modified histone H3.2013
Author(s)
Kato, H.*, Okazaki, K., Iida, T., Nakayama, J-I., Murakami, Y. and Urano, T.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 3
Pages: e2186
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Nonmuscle myosin II folds into a 10S form via two portions of tail for dynamic subcellular localization.2013
Author(s)
Kiboku, T., Katoh, T., Nakamura, A., Kitamura, A., Kinjo, M., Murakami, Y. and Takahashi, M.
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Journal Title
Genes to Cells
Volume: 18
Pages: 90-109
DOI
Peer Reviewed
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