2013 Fiscal Year Research-status Report
交流電場を用いたエントロピー操作によるタンパク質結晶の高品質化技術の開発
Project/Area Number |
25650017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小泉 晴比古 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10451626)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 交流電場印加 / タンパク質結晶 / 結晶の完全性 / ロッキング・カーブ測定 |
Research Abstract |
ゲノム創薬やテーラーメイド医療を現実するためには、「良質なタンパク質単結晶の育成」という困難な問題を解決しなければならず、このような問題を解決することのできる新しい結晶育成技術の開発が望まれている。 そこで、本研究は、申請者がこれまで開発してきた交流電場印加によるタンパク質核形成頻度の制御(H. Koizumi et al., Cryst. Growth Des. (2009)., J. Crystal Growth (2012).)を基に、交流電場印加がタンパク質結晶の完全性に与える影響を明らかにすることにより、核形成頻度の制御ができ、かつ、育成する結晶の高品質化も行うことのできる交流電場印加によるタンパク質結晶の新しい育成技術の開拓を目的とした。 本年度は、1 MHzの交流電場がタンパク質結晶の完全性に与える影響に焦点を当てて研究を行った。結果として、1 MHzの交流電場を印加しながら育成した正方晶リゾチームにおいて、ロッキング・カーブ曲線の半値幅のマッピングを行ったところ、1 MHzの交流電場を印加することにより結晶性の改善だけではなく、結晶の均質性も向上していることが明らかになった。さらに、ロッキング・カーブ測定により得られた半値幅のデータをより詳細に解析することにより、正方晶リゾチームの半値幅の広がりが、結晶内のサブグレインの配向不整と歪みに起因していることを明らかにし、特に、タンパク質結晶の不完全性が結晶内のサブグレインの配向不整に支配されていることを示した。また、1 MHzの交流電場を印加することにより、この結晶内のサブグレインの配向不整が減少することによって、結晶の完全性が向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、交流電場印加による高品質タンパク質結晶の育成技術の開発を目指しており、本年度は、1 MHzにおける交流電場印加がタンパク質結晶の結晶性に与える影響を調べることに焦点を当てており、その目標は十分に達成された。さらに、本年度は、測定された半値幅のデータから、タンパク質結晶の不完全性の原因も明らかにすることができ、本研究は、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1 MHzの交流電場を印加すると固相に顕著な電場の効果が印加され、20 kHzの交流電場を印加すると液相に顕著な電場の効果が印加されることがこれまでの研究で明らかとなっている。そこで、液相に顕著な電場の効果が印加された場合のタンパク質結晶の完全性への影響を調べるために、今後は、20 kHzの交流電場を印加しながら育成した正方晶リゾチームのロッキング・カーブ測定に焦点を当てて研究を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要とする消耗品を購入するためには十分な額ではなくなったため、6,724円を繰越にした。 繰越にした6,724円と翌年度分として請求した助成金を合わせることによって、必要とする消耗品を購入していく。
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Research Products
(4 results)