2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子と質量分析装置を用いて脂質ラフトの有無や大きさを測定する方法の開発
Project/Area Number |
25650022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
妹尾 圭司 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50283908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山濱 由美 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (90242784)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質ラフト / 質量分析 / 脂肪酸 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
金コロイド抗体,銀コロイド抗体を用いて,視細胞外節におけるロドプシン周辺の脂質ラフト構成分子の解析と,培養細胞(T24細胞)を用いて,CD59タンパク質周辺の脂質ラフト構成分子の解析を試みている。 特に,視細胞と銀コロイド抗体を用いて脂肪酸を検出する方法において,非常に興味深いデータが得られた。銀コロイド抗体を結合させて,弱いレーザー照射を行って脂肪酸の検出を行った時に比べて,強いレーザー照射を用いたときに相対的なDHAの検出量が増大した。脂質ラフト領域は,飽和脂肪酸の比率が高くなっていると予想されること,レーザー強度を上げるとイオン化される範囲が広がり,脂質ラフト領域以外までイオン化されることが期待されることから,脂質ラフト構成脂肪酸を検出することができた可能性が高いと考えられる。ただし,条件によってその傾向が強く出たり,弱かったりと,不安定であるため,安定して再現できる条件を検討する必要がある。 また,脂質ラフトに由来する結果であることを示すためには,いくつかのコントロール実験が必要であると考えられるが,まだその結果が出ていない。 さらに,脂質ラフトの大きさを決定するために,質量分析器で分析後の試料を電子顕微鏡で観察し,イオン化の範囲を決定する方法を検討しているが,これまでの所,分析後の試料のコロイド粒子とその周辺を明確に観察する事ができていないため,さらなる条件検討が必要である。 銀コロイドを用いてコレステロールを検出すること,金コロイドを用いて糖脂質を検出することについても検討したが,これまでの所明確なシグナルは得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想より進んでいる面と,遅れている面があるが,最も重要と考えられる,銀ナノ粒子を用いた分析によって,脂質ラフトを構成する脂質の脂肪酸に由来すると考えられるシグナルが得られたことから,概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最も力を入れるのは,これまでで最も進展している,銀粒子を用いた脂肪酸の分析法の条件検討である。脂質ラフトとそれ以外の領域を含んだときとはっきりした差が安定して出る条件を検討する。 平行して,金粒子を用いて糖脂質を検出する方法の検討と,電子顕微鏡を用いた,イオン化範囲を測定する方法の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,試薬,実験器具等消耗品に要する費用が多く,節約しつつも研究の進展に合わせて使用してきたが,予定より消耗品に多くの費用がかかってしまった。一方で,他の研究室に設置されていたインキュベータを使用することができることになり,インキュベータ購入予定費を消耗品費に当てたところ,一部費用を繰り越すこととなった。 これまでの実験結果より,抗体の必要量が予想よりも多いと考えられることから,次年度も消耗品費が計画段階よりも多くかかると考えられるため,繰り越し額は予定していた2年目の予算と合わせて抗体などの消耗品に使用する計画である。
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