2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子と質量分析装置を用いて脂質ラフトの有無や大きさを測定する方法の開発
Project/Area Number |
25650022
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
妹尾 圭司 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50283908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山濱 由美 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (90242784)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 質量分析 / 脂質ラフト / ナノ粒子 / 生体膜 / 脂肪酸 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの報告から,抗体の結合に関する実績や,その手法の柔軟性では金ナノ粒子が勝り,質量分析におけるイオン化能力に関しては銀ナノ粒子が適していると予想されたが,様々な条件を検討した結果,金ナノ粒子を用いても,適切な条件下ではMALDI-TOF MS装置を用いて生体膜を構成する脂肪酸を検出出来ることが明らかになった。金ナノ粒子を用いるメリットとしては,市販の表面修飾粒子を用いれば,抗体を共有結合によって粒子表面に結合できるため,質量分析の際に必要な高真空下に置くための凍結乾燥を行っても,ナノ粒子と抗体が離れないことがあげられる。加えて,抗体と抗原の間を架橋剤を加えて結合させることによって,標的タンパク質から金ナノ粒子までの間を共有結合でつなぐことができたと考えている。 本課題では脂質ラフトの分析を目指しているので,IgGを結合した金ナノ粒子によって,脂質ラフトを形成すると報告されているCD59というタンパク質の周辺の脂質を構成する脂肪酸の分析を培養細胞を用いて行ったところ,抗体を結合させていないナノ粒子での分析に比べて,不飽和脂肪酸であるオレイン酸の比率が低下しているという結果が得られた。検出条件などさらに検討する必要が有るが,今回検討した方法が生体膜中の脂質ラフトなどの不均一な脂質分布の研究に有効であると考えられる。 脂質ラフトの分析を進めるためには,コレステロールの検出やリン脂質分子を脂肪酸に分けずに全体として検出することがより好ましいと考えられるが,銀ナノ粒子を用いることでこれらの分析が可能となることを示唆するデータが得られた。しかし,銀ナノ粒子に関しては,得られる粒子径が均一でないこと,抗体との結合に不安定なものが混ざっているなどの問題点がいくつかあるため,今後さらなる研究が必要である。
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