2014 Fiscal Year Research-status Report
In-cell NMRによるリアノジン受容体のカルシウム放出制御機構の解明
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25650024
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
真板 綾子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60415106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カルシウム恒常性 / In-cell NMR / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
老化に伴う筋萎縮(サルコペニア)は、筋小胞体膜上に存在するリアノジン受容体からカルシウムが漏出することにより、引きおこされる。このカルシウムの漏出は、加齢に伴う活性酸素増加によって受容体が損傷し、その安定化蛋白質であるFKBP12が受容体から解離することによりおこるというモデルが提唱されている。さらに、近年、薬剤S107が損傷したリアノジン受容体とFKBP12の再結合を促し、カルシウムの漏出を防ぐことが見出された。しかし、その詳細な機構は明らかになっていなかった。そこで、本研究では、生きた細胞内での蛋白質間の相互作用を原子レベルで解析できるIn-cell NMR法と従来の構造生物学的手法を相補的に用いて、FKBP12によるリアノジン受容体のチャネル安定化機構を解明することを目的とした。前年度に、筋芽細胞へ安定同位体標識したFKBP12を導入して、FKBP12とリアノジン受容体の細胞内での相互作用をIn-cell NMR法で検出することを目指した。しかし、標的蛋白質を筋芽細胞へ導入する方法の確立に難航した。また、この研究課題を推進する上で必要な薬剤であるS107が、特許及び創薬開発のために入手困難であった。そこで、当初の研究計画を変更し、筋小胞体と同様に、加齢によるカルシウム漏出がおこり、サルコペニアの原因となるミトコンドリアに着目し、このカルシウムの取り込み制御に関わるカルシウム単輸送体UCP3とその制御因子HAX-1の複合体の相互作用解析を行った。その結果、両者の結合にはカルシウムが必須であることを見出した。さらに、詳細な複合体形成機構を明らかにするために、この複合体の結晶構造解析を目指した。まず、結晶化のための大量培養・精製を行い、結晶化条件を探索した。数多くの結晶化条件を試行したが、期間中にX線結晶解析に適した結晶を得ることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に、標的蛋白質(FKBP12)を筋芽細胞へ導入する方法を確立し、In-cell NMR測定により、リアノジン受容体と標的蛋白質の相互作用を検出する計画であったが、細胞の性質上の問題により、筋芽細胞への効率の良い導入方法を見出すことができなかった。さらに、この研究を行う上で重要な薬剤S107に関しても、特許及び薬剤開発の関係上、入手できなかった。これらの理由により研究計画を変更せざるおえなくなり、筋小胞体と同じカルシウム漏出が老化によりおこるミトコンドリアに着目し、そのカルシウム取り込みに関わる複合体(HAX-1-UCP3)の構造生物学的研究を行った。初年度は、この複合体形成にカルシウムが必須なことと、カルシウムが果たす役割を明らかにした。平成26年度は、この複合体の結晶構造解析を目指した。予定では、結晶化条件の探索を終え、データ収集・構造解析まで終える予定であったが、今年度中に解析可能な結晶を得ることができなかった。理由としては、妊娠による体調不良のため、研究の進行が遅れたことと、産前産後の休暇および育児休業の取得に伴い、平成26年12月4日から現在に至るまで、研究を中断していることがあげられる。したがって、「遅れている。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、筋芽細胞へ標的蛋白質を導入する方法の確立を目指す。細胞透過ペプチドを用いた方法だけでなく、最近報告された電気穿孔法を用いた導入法を用いて細胞への導入効率を検討する。導入方法を確立した後に、HAX-1のUCP3結合領域を細胞へ導入し、筋芽細胞内でのUCP3との相互作用をIn-cell NMR法を用いて検出する。一方、HAX-1とUCP3複合体の構造解析に関しては、NMR法とX線回折法を併用して行う。これらの結果から、HAX-1とUCP3複合体によるカルシウム取り込み制御機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年度は、妊娠による体調不良及び出産による研究中断により、研究に必要な試薬の購入や、NMR測定や研究打ち合わせのための出張ができなくなってしまったため、818,407円が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も、消耗品として細胞培養関連試薬、蛋白質の発現・精製関連試薬、NMR測定のための安定同位体、結晶化のための試薬類、DNA合成の購入に使用する。また、高磁場NMR装置の使用・研究打ち合わせのための京都大学工学研究科や医薬基盤研究所及び大型放射光施設(SPring-8)への出張費に使用する。さらに研究成果を発表するために、国内の学会への参加・出張費及び論文投稿費に使用する。繰り越し金に関しては、次年度のNMR測定・X線回折実験にかかる費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)