2013 Fiscal Year Research-status Report
光散乱および分光法によるセルロース合成酵素活性の新規定量法の開発
Project/Area Number |
25650033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 友也 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90509142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セルロース / セルロース合成酵素 / 酵素活性測定 / 変異体タンパク質 / 蛍光色素 |
Research Abstract |
酢酸菌より抽出した粗酵素による酵素活性測定を行う予定だったが、我々が最近開発した、組換え体セルロース合成酵素の機能再構成系「CESEC(CEllulose Synthesis in E. Coli)」の合成活性評価法開発を、より集中的に行った。本系は、組換え体を使ったセルロース合成酵素の活性評価を、簡便かつ効率的に行える実験系であり、今まで研究例の少ないセルロース合成酵素の機能解析の劇的な進行をもたらす貴重な実験系である。その合成活性の定量法を確立することで、大きく研究が進む状態であったため、実験計画を変更した。 具体的には、呈色反応による多糖類の定量法として古典的な方法である、アンスロン・硫酸法により、合成セルロースの定量を行った。プロトコルを一部改良することにより、従来法よりも少ない溶液量(1.5mL程度)と高い感度(下限値20マイクログラム)での測定が可能となった。この手法で、20の点変異体のセルロース合成活性を分析したところ、今までの目視による定性評価では、同様に合成活性が明らかに減少した機能欠損点変異体について、酵素活性が検出限界以下になる変異体と、野生型と比べて顕著に活性が低減するものの、残存活性が認められる変異体の二種類があることが判明した。以上から、今後、より細かい分析を進め、酵素反応機構に関する考察を行う予定である。 また、アンスロン硫酸法では、硫酸を使う必要がある。そこで、上記の組換え体タンパク質の酵素活性定量のための、より安全な方法として、蛍光染料を使う方法の確立を試みた。従来よく使用されてきた、カルコフルオールなどよりも特異性が高いと報告されている、Scarlet4B(DirectRed23とも呼ばれる)という色素を使って条件検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書での計画内容は、抽出した粗酵素の、試験管内での酵素反応測定であったが、組換え体タンパク質の酵素活性測定法の開発を優先させた。その結果、組換え体セルロース合成酵素の酵素活性測定法の確立に成功し、かつ、すでに構築済みであった点変異体発現系と組わせることで、セルロース合成酵素の反応機構に関する考察を進める基礎ができたと考えている。このような研究はほとんど前例がなく、大変重要な実験基盤ができたと考えている。以上から、大局的な観点からは、本課題の目的に沿った成果が得られつつあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今回改良したアンスロン・硫酸法を用いて、引き続き、組換え体タンパク質を用いた変異体の酵素活性測定を進める。部位特異的変異導入だけではなく、ランダム変異作成や、部分欠損変異体についても進める。 2.蛍光色素を使うなど、硫酸を使わないより簡便なセルロース定量法の構築を進める。 3.当初目標である、粗酵素の試験管内反応の濁度測定から、反応速度の定量を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
汎用消耗品(吸光度測定用のディスポセル、硫酸、アンスロン、酢酸、硝酸等)の購入が主であったため、他経費使用で十分間に合ったため。 プレートリーダー吸光光度計等の、備品購入に充てる。
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