2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25650037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
本橋 健 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (90301952)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体エネルギー変換 / 光合成 |
Research Abstract |
高等植物の光合成反応のうち、明反応ではNADPHとATPを産生する。これらの化合物は、その後のCO2固定反応に用いられ、光合成エネルギー代謝のキー物質といえる。そのため、植物の生きた細胞内でNADPHの濃度変化をリアルタイムで観察することは、光合成を理解する上で非常に重要である。本研究では、光合成明反応で産生する2つの化合物のうち、NADPHを生きた細胞内でリアルタイムに観測する実験系を構築することを目的としている。NADPHの濃度変化を生細胞で高感度に計測する具体的な方法として、生体内で機能するNADPHのFRETセンサーを作成し、それを用いて、細胞内のNADPHのリアルタイムモニターを行う実験系を開発する。 その出発段階として、NADPHセンサーとして機能することが予想されるタンパク質を種々のNADPH関連タンパク質から選定した。このタンパク質は、NADPHの濃度変化によりタンパク質の立体構造が変化することを期待できる。2013年度は、このタンパク質をコードする遺伝子をクローニングし、その遺伝子を遺伝子工学の手法を用いて改変し、GFP誘導体との融合タンパク質として作成した。GFPの誘導体を用いたFRETセンサーは、これまでにも他の化学物質を生体内で高感度に検出するプローブとして使用されてきた実績があるため、NADPH濃度変化を高感度に検出するセンサーとして機能することが期待される。また、このNADPH濃度変化のFRETセンサー候補となるタンパク質とGFP誘導体との融合タンパク質の大量発現系は、大腸菌を用いて構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NADPH濃度の変化によって構造変化が予想されるタンパク質候補を選定し、その構造変化をFRETで検出できるようGFP融合タンパク質として、大腸菌に発現させる実験系を構築できた。計画はおおむね順調に進んでいるが、次年度にはさらなる改良を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したFRETセンサータンパク質を精製し、NADPH濃度依存的にFRET変化が観測できるかを検証する。 この実験系が感度良くNADPH濃度を定量できる場合には、当初予定通り実験を進める。そうでない場合には、センサー部分の点変異、GFPとのリンカー部分の改変などを行い、より良いNADPHセンサーを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内のNADPH 濃度を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による蛍光変化で捉え、細胞内のレドックス状態を可視化するためのプローブ作成が当初予定していた波長領域での実験だけでは低効率なため、その改良を次年度行う。必要となるフィルター波長域は、平成26年度に行う実験により判明するため、必要な物品費を平成25年度予算より繰り越す。 蛍光光度計、および蛍光顕微鏡での実験に、各種波長をカットするための光学フィルターが必要なため、それら物品を購入するための費用として、物品費を計上した。
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Research Products
(4 results)