2013 Fiscal Year Research-status Report
組織性カリクレインによる神経幹細胞の増殖促進機構の解析
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25650039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
岩館 寛大 山口東京理科大学, 工学部, 講師 (70279107)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カリクレイン / 神経幹細胞 / 増殖促進 |
Research Abstract |
平成25年度は二次元電気泳動を用いたプロテオーム解析を行い、カリクレインの基質候補タンパク質の同定を行った。その結果、SDS-PAGE、二次元電気泳動を用いて、神経幹細胞の培養上清よりカリクレインにより分解されるタンパク質を検索した結果、いくつかの基質候補となるバンドを見出したが、そのタンパク質の同定には至らなかった。 カリクレインによる神経幹細胞の増殖促進作用メカニズムとして、細胞増殖の促進、アポトーシスの抑制、分化抑制、細胞老化の抑制が考えられるため、これらの可能性について検討した。カリクレインが細胞老化に与える影響をp21遺伝子発現量により調べた結果、p21遺伝子の発現量は大きな変化を示さずカリクレインが細胞老化を積極的に抑制していないことが示唆された。神経幹細胞の分化に与える影響について、GFAP、DCX、SOX2遺伝子の発現量変化を調べた結果、これらの遺伝子の発現量はほとんど変化していなかった。この結果は、カリクレインが神経幹細胞の分化抑制をしていない可能性か、今回用いた培養条件では神経幹細胞の分化がほとんど起こらない可能性が示唆された。 一方、NF-κB経路の活性化は神経幹細胞の分化を促進することが報告されているので、カリクレインがNF-κB経路にどのような影響を与えるか調べた。その結果、IKKα/βやRelAのリン酸化が抑制されることがウエスタンブロット解析により明らかになり、カリクレインはNF-κB経路を抑制することが示唆された。また、ウエスタンブロット解析により、カリクレインがERKを活性化することが明らかになった。しかし、ERKの上流分子であるc-RafやMEKなどは活性化されていないことから、ERKは一般的なMAPKカスケードとは異なるシグナル伝達経路により活性化されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、組織性カリクレインの基質検索が遅れている。これは電気泳動による基質検索において、試料が微量であるため同定に手間取っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
基質検索は試料量を増やして電気泳動を行う予定である。また、活性中心を変異させたカリクレインを調製してこのタンパク質と結合するタンパク質を調べることを検討している。 また、カリクレインがNF-κB経路を抑制することがわかったので、この結果と神経幹細胞の増殖促進メカニズムとの関係を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の割引により、予定よりも安く消耗品を買ったため。 残った額は消耗品として使用する予定である。
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