2014 Fiscal Year Research-status Report
組織性カリクレインによる神経幹細胞の増殖促進機構の解析
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25650039
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
岩館 寛大 山口東京理科大学, 工学部, 講師 (70279107)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織性カリクレイン / 神経幹細胞 / 増殖促進作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,カリクレインを神経幹細胞の培養液に添加することにより,NF-κB経路が抑制される可能性が示されたため,本年度はこの点について確認を行った。ウエスタンブロット解析によりIKKα/βとRelAのリン酸化が抑制されることが確認された。また,カリクレインを添加した神経幹細胞のリン酸化RelAを免疫細胞染色により調べた結果,細胞内のリン酸化RelA量が減少することが確認された。さらに,神経幹細胞を分化誘導したとき,リン酸化RelA量は2~3日目に最大となり,核内の陽性部位も増加していたが,カリクレイン添加によりこのようなリン酸化RelAの量や分布の変化は抑制されていた。NF-κB経路の活性化は神経幹細胞の分化を促進する報告があることから,カリクレインは神経幹細胞のNF-κB経路を抑制することにより,神経幹細胞の分化を抑え,その結果みかけの細胞増殖速度が増加していることが考えられた。そこで,NF-κB経路を活性化するIL-1, TNF-αのリガンドおよび受容体の発現量を調べた。その結果,神経幹細胞ではIL-1β,IL-1 type1, II 受容体,TNF-α,TNF-α受容体が発現していることが明らかとなった。そこで,これらのうち,IL-1 type I 受容体がカリクレインにより切断されるかウエスタンブロット解析により調べた結果,IL-1 typeI 受容体がカリクレインの神経幹細胞における基質のであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究で,二次元電気泳動を用いて,カリクレインの基質候補を見つけ出すことはできなかった。しかし,別の方面からの試みにより神経幹細胞の細胞膜上に存在するIL-1 typeI 受容体がカリクレインの基質であることが明らかになった。NF-κB経路を活性化するリガンドおよび受容体はこの他にもあるのでこれらの分子がカリクレインの基質となるか調べる必要があるが,その他の候補についてはまだ調べることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度でも述べたように,IL-1受容体(typeII受容体は抑制的に働くため今回は関係ないと考えられる)以外のリガンド,受容体に対するカリクレインの作用を調べる必要がある。カリクレインの添加またはNF-κB経路の抑制により神経幹細胞の分化が抑制されることを確認できていないので,この点も調べる必要がある。さらに,IL-1受容体アンタゴニスト,IL-1 typeI 受容体 siRNA,NF-κB経路阻害剤により神経幹細胞の増殖が促進されるか確認する必要がある。以上の点について確認することにより,カリクレインによる神経幹細胞の増殖促進メカニズムの解明ができると考えられる。
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Causes of Carryover |
使用する抗体の数が予定よりも少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
siRNAを使用することも計画しているので,これらの注文に用いる予定である。
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