2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25650044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30270549)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子個性 / 反応ネットワーク / 自由エネルギー地形 / 一分子計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光共鳴エネルギー移動一分子計測では,分子が発する蛍光強度を通して分子の動きの経時変化を観察する。しかしながら,一つの分子が発する蛍光は微弱であり,かつ数百回程度の有限回数しか観測することができないため,有限のサンプル数及び計測そのものに由来する測定誤差を有している。そのため,現在,これらの誤差を正しく評価し背後に存在する分子の情報の詳細を正しく抽出する解析手法が必要とされている。我々は、有限個のサンプルから多数の“観察データ”を疑似的に発生させるブートストラップ法と呼ばれる統計手法を用いて,実験誤差存在下におけるデータの不確実さを定量化し,データの各切片を個々の分子状態に分類し,その分類の確実さを同時に同定するソフトクラスタリングと呼ばれる情報科学的手法を導入した新しい解析方法を開発した。 この新しい手法を中枢神経系における情報の伝達を仲介するタンパク質として知られるAMPA 受容体の蛍光共鳴エネルギー移動一分子計測における時系列データに適用した。基質が結合するAMPA受容体のドメインが“閉じた構造”で安定であるほど,情報伝達を媒介するカルシウムイオンが細胞膜を横切って移動すると考えられていたが,安定性だけでなく,受容体と基質が結合している際にいくつの異なる分子状態を有しているか,また,それらの分子状態の間の行き来のしやすさがイオンの膜透過活性に大きく影響していることを明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実データに基づいて計測誤差および有限個のデータ点から生じる数揺らぎの誤差を考慮にいれたデータ駆動型数理モデリングに関しては十分な成果を得るに至り、今後、分子個性から細胞個性へも展開できる目処が立ったことは大きい。一方、分子個性を論じるうえで必要となる構造間遷移に要する時間スケールの定量化に関しては、論文化が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、開発した蛍光共鳴エネルギー移動1分子計測の光子列のデータに内在する実験誤差や有限個のデータ点から生じる数揺らぎの誤差を考慮にいれたネットワーク構築のアルゴリズムを1細胞ラマンスペクトルの動態解析に展開し、細胞個性を分子レベルで定量化する新しいデータ駆動型数理モデリングを開発する。
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Causes of Carryover |
当初、会議費として残額相当を計上していたが、会議が次年度に持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
会議費を予定している。
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Research Products
(33 results)
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[Presentation] 分子個性と少数性2014
Author(s)
小松崎 民樹
Organizer
第52回日本生物物理学会年会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
Year and Date
2014-09-26 – 2014-09-26
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