2014 Fiscal Year Annual Research Report
光学顕微鏡の照射・結像システムを空間光位相変調器により自在に操る
Project/Area Number |
25650046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船津 高志 東京大学, 薬学系研究科, 教授 (00190124)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空間光位相変調 / 光学顕微鏡 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒットショックプロモーターの下流に標的遺伝子を導入した個体内の1細胞に1,480 nmの赤外レーザーを照射して加熱し、1細胞の遺伝子発現を制御するIR-LEGO(InfraRed Laser-Evoked Gene Operator)法を開発した(Kamei et al., Nat. Methods. 6, 79 (2009))。この顕微鏡システムを最適化するためには、加熱した細胞の周囲の温度分布を測定する必要がある。このためには、レーザーの焦点と観察面のZ軸方向の位置を、任意に変える機構を顕微鏡に組み込まなければならない。従来は、結像系のレンズを移動することにより画像の焦点面を変えていた。しかし、100倍の対物レンズで焦点面を10 µm移動するためには、結像レンズを10 cmも移動しなければならず操作性が極めて悪かった。空間光位相変調器を光路に組み込むことによりこの問題を解決した。まず、空間光位相変調器を結像系に組み込み、焦点距離が400~600 mmのフレネルレンズの位相変調を加えた。これにより、レンズの移動のような物理的な操作を行うことなく± 20 μm焦点面をずらすことができた。しかし、位相変化量が波長に依存するため、狭帯域のエミッションフィルターを使用する必要がある。また、偏光フィルターを使用するため得られる蛍光信号が微弱になるという欠点が明らかになった。さらに、フレネルレンズの焦点距離を変えることにより顕微鏡像の倍率が変化してしまうという欠点も明らかになった。そのため、空間光位相変調器を結像系に組み込むことは適切ではないと判断した。赤外レーザーの照射系に空間光位相変調器を組み込むことでこれらの問題を解決した。
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