2014 Fiscal Year Research-status Report
繊毛波打ち運動を制御するダイニン分子による力伝達機構の解明
Project/Area Number |
25650048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 陽子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40158043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 潤一郎 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00453499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 繊毛打運動 / ダイニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、繊毛打運動に関わる軸糸ダイニン分子が、周期的に切り替わる軸糸の形態変化(屈曲)に応じて活性化される機構、及び、ダイニン分子の活性化の伝播により波うち運動が制御される機構を明らかにすることである。本年度は主に、(1)繊毛打運動に動力を与える軸糸ダイニン分子の運動をin vitro再構成系で定量し、ダイニン分子の運動(屈曲)特性を明らかにした。(2)昨年度に確立した単細胞真核生物・繊毛虫テトラヒメナの大核ゲノムへの目的遺伝子の組換え導入法により、前項の運動特性の定量結果に基づき繊毛打運動に影響を与えると推定したダイニン分子の変異体を内在性の軸糸ダイン遺伝子と組換えて導入し、テトラヒメナ個体の遊泳パターンやテトラヒメナ繊毛の繊毛打波形とダイニン分子の運動特性との相関の定量が可能となった。これらの変異体ダイニン分子を保持するテトラヒメナや野生型テトラヒメナの繊毛運動を3次元空間で定量するために、(3)遊泳しているテトラヒメナの固定及び操作方法の検討を行った。昨年度より開発を進めている3次元位置検出系を備えた光学顕微システムに、マイクロマニュピレーションシステムを新たに導入した。これにより、遊泳しているテトラヒメナをイメージングしながらガラスキャピラリーによって吸引・捕獲し、テトラヒメナ繊毛の活性を保ったまま運動計測に適した位置に移動させることが可能となった。さらに、遊泳しているテトラヒメナを追跡する必要があり、テトラヒメナの3次元位置情報を監視し、ステージが上下(z軸)及び左右(xy-軸)方向に動くフィードバックステージシステムの導入に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で掲げていた、(1)テトラヒメナ繊毛観察系の構築、(2)特定の軸糸ダイニン遺伝子の導入、及び、(3)3次元力学計測のための光学顕微鏡システムの構築において、予定通りの成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度および平成26年度に確立した要素技術に基づき、蛍光タグなどを融合した変異体ダイニン分子をテトラヒメナ繊毛軸糸内に導入して発現させ、繊毛打運動の3次元イメージング及び3次元力学計測を行う。変異体ダイニン分子の組み合わせに依存した繊毛波うち運動をイメージングするとともに、力学計測システムを本計測系に新たに導入し、一本の繊毛の力学特性を明らかにすることで、繊毛打運動における各軸糸ダイニン分子の役割及び各種ダイニン分子間での協調性を検証する。
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