2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25650059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木原 章雄 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50333620)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質 / 脂質非対称 / 細胞膜 / Rim101経路 / 脂質二重層 / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜脂質二重層の内層と外層の脂質組成が異なっていることを脂質非対称と呼ぶ。脂質非対称の維持は膜電位の形成,細胞膜の安定化に重要であるため,脂質非対称に変化が生じるとその変化を認識し,元に戻そうとする機構が存在すると予測された。実際我々は,そのような機構の存在を見出し,Rim101経路が関わることを明らかにしてきた。Rim101経路の最上流では細胞膜に局在するRim21が脂質非対称のセンサーとして働くことも見出している。 本年度,我々はRim21のどの領域がどのようにして脂質非対称を認識するのかについて解析を行った。Rim21は複数膜貫通タンパク質であるが,細胞質に存在するC末端に比較的大きな親水性領域(Rim21C)を持ち,この領域には多数の荷電アミノ酸クラスターが存在する。Rim21CをGFPへ融合させ,細胞内局在を観察したところ,細胞膜とバッドネックに局在が見られた。一方,脂質非対称に変化が生じた変異株中ではそのような局在が失われた。このことから,Rim21C内に脂質非対称を認識するモチーフがあることが明らかとなった。また,我々はRim21Cに存在する荷電アミノ酸クラスターそれぞれの変異体を作成し,脂質非対称変化に対する応答能を調べた。その結果,353から355番目のグルタミン酸(EEEモチーフ)をアラニンに置換した変異体で活性が失われていた。これらの結果から我々は脂質非対称認識に関して以下のような仮説を提唱した。正常な脂質非対称の状態では細胞膜内層に負電荷を持つリン脂質が多く存在し,Rim21CのEEEモチーフと反発しあっている。しかし,脂質非対称が乱れると負電荷のリン脂質が減少し,Rim21Cとの反発力が軽減し,Rim21C末端の膜との相互作用や構造変化が引き起こされる。その結果,Rim101経路の下流因子がリクルートされて,Rim101経路の活性化が引き起こされる。
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Research Products
(5 results)