2014 Fiscal Year Research-status Report
代謝の時空間的協調を介した細胞と微小環境の相互作用制御メカニズム
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25650060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 康仁 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90435561)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 代謝 / シグナル / 微小環境 / 組織培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、平成26年度は、乳腺組織の培養系における異なる上皮細胞間の相互作用観察系の確立を開始した。前年度入手した、in vivoで乳腺を再構築するマウス乳腺上皮細胞株を2次元培養し、以降の使用に十分足りる程度増殖させて、凍結保存した。継代数により乳腺再構築の効率が異なることが報告されているため、ケラチン等上皮細胞の性質を反映するマーカーを用いた免疫染色による簡易的な性質検査を行い、継代数との相関を検討した。また、上記のin vivo培養を介した3次元組織培養系に加えて、in vitroにおける上皮2層構造構築の方法を幾つか確立した。一つは細胞培養用の微小径ビーズを用いた2層構造構築法であり、血管内皮細胞を用いた3次元血管構造の構築法を参考にしている。最初に管腔上皮細胞をビーズに付着させたのち、筋上皮細胞を特殊な方法で「コーティング」することによって、3次元2層構造の形成が可能である。もう一つの方法では、前述のような培養ビーズを使用せず、2次元のレイヤーを形成した乳腺上皮細胞の培養環境を変化させることにより立体的な腺房様構造を誘導させたのち、前記と同様に筋上皮細胞をコートする。上皮管腔の性質をよく保持した細胞株に加えヒト乳腺初代培養を不死化した細胞群を用いて、これらの方法による乳腺組織様構造の形成を試みた。 インテグリン動態の蛍光観察法を再検討するため、特にβ1インテグリンの遺伝子構築について改善を試みたものの、改善は非常に困難であったため、既に報告されているαインテグリンの蛍光蛋白質融合体を用いた方法へと変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養系については、当初予定していたものよりもさらに簡便で、かつ新規性の高い方法も含めて確立することができたため、想定以上に進捗したと判断している。しかしながら、主な解析対象であるインテグリンに関して、蛍光蛋白質融合体の構築が想定以上に困難であり若干の遅れを生じているため、総合的に「おおむね順調に進行している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光観察が若干困難と思われるインテグリンに加えて、「糖代謝シグナル」において根幹的な細胞表面蛋白質である、グルコーストランスポーターやレセプター型チロシンキナーゼの蛍光観察系を確立して、異なる細胞間の相互作用を検討していく。グルコーストランスポーターの蛍光蛋白質融合体の作成は既にある程度進めており、内在性の分子と同様の3次元局在を示すものが得られつつある。
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Causes of Carryover |
平成26年度終盤に購入した物品の会計処理に遅れが生じ、平成27年4月に支払われたため、システム上で未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度終盤に購入した物品の支払いについては、平成27年4月に完了している。
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