2014 Fiscal Year Research-status Report
植物の組織によって異なる概日時計の環境応答性の分子基盤
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25650097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 求 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (80551499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 概日時計 / 組織特異性 / 維管束 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日時計は多くの生物種で共通して見られる仕組みである。動物では脳に存在する主要時計が末梢臓器に存在する末梢時計を制御することで個体としての概日リズム制御が行われている。しかし、植物には脳のような明確な中枢は存在せず、組織特異的な解析のための研究手段も充分ではなかったため、植物における概日時計の組織特異的な役割はほとんど明らかにされてこなかった。 今回、概日時計の役割を組織レベルで明らかにするために、これまでの方法より時空間分解能にすぐれた組織単離方法と、組織レベルでの時計遺伝子のプロモーター活性を非侵襲的に測定する方法を新たに開発した。シロイヌナズナの葉を構成する主要な組織のうち、葉肉細胞と維管束を単離し、マイクロアレイ解析を行うことで概日時計の組織特異的な役割を解析した。その結果、維管束の概日時計は遺伝子発現量および振動遺伝子の位相という点で葉肉細胞や葉全体の概日時計とは大きく異なっているものであった。さらに、維管束の概日リズムは連続明条件でも持続することや維管束の概日時計機能の阻害効果が葉肉細胞や個体全体でも見られることも明らかとなった。こうしたことから、我々は維管束が動物と同様階層構造を持った概日時計システムを持っていることを明らかにし、植物の概日時計研究における組織・細胞レベルでの解析の重要性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を越えて進行し、研究成果をNature誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
花成については組織特異的な概日時計の役割が概ね理解できたと考えているが、細胞伸長制御については維管束の概日時計では説明できないため、他の組織における概日時計が重要であると考えられる。引き続き、こちらについても解析を行う。
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