2014 Fiscal Year Research-status Report
プラナリア生殖様式転換は共生細菌がコントロールしているのか?
Project/Area Number |
25650103
|
Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
前澤 孝信 津山工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90548398)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プラナリア / 有性化 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
無性プラナリアに有性プラナリアを餌として与えることで有性化を誘導できる。本研究ではプラナリアの有性化と共生細菌との関係を調べることを目的としている。有性化と細菌との関係を調べるために、有性化過程において抗生物質処理する実験を行った。抗生物質としては幅広い細菌に対するオキシテトラサイクリンを用いた。有性種イズミオオウズムシとオキシテトラサイクリンを混合した餌を無性プラナリアに与えて2週間経過した時点で外部形態を観察した所、実験群において卵巣の発達した個体の割合が有意に低かった。また、交接器官の発達した個体の割合については有性差が無かったが低い傾向が認められた。この結果は、抗生物質処理が、有性化初期における卵巣形成を阻害することを示唆している。次に有性化後期への影響を見るために、有性種の投餌無しでも有性化が進行するステージ3個体(全5ステージ中)に対してオキシテトラサイクリン処理を行った。その結果、実験群では、過剰に卵巣対が形成される個体が多く見られた。以上の結果より、抗生物質処理が、有性化初期においては卵巣形成の阻害に、逆に有性化後期では卵巣形成の促進へと影響することが明らかになった。さらに、プラナリアのメタボローム解析を行い、無性個体に比べて有性個体に多く含まれている物質として抗菌物質のラウリン酸を同定した。無性個体にラウリン酸を給餌した所、卵巣が発達した。興味深いことに卵巣分化に対して、ラウリン酸はテトラサイクリンと逆の効果を示した。しかしながら、テトラサイクリンは有性化条件下での実験であり、無性個体に処理をしたラウリン酸の実験とは条件が異なる。今後は有性化条件下でラウリン酸を処理する実験を行い、真意を見極めたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2種の抗菌物質が有性化へ影響があることから細菌が有性化に関与することが示唆された。しかしながら、プラナリアがどのような細菌を保持しているのか、細菌の振る舞いがどのように有性化に影響するのかについては、未だに不明である。グラム染色による細菌の分布と、次世代シーケンサーを用いた細菌種の同定を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
プラナリア個体中の細菌群を明らかにするために、Takara社に委託して次世代シーケンサーを用いた16S rRNA領域DNAの網羅的な配列解析を行う。すでに細菌のリボソームDNAを増幅するプライマーはお手元に用意できたので、PCR反応の精製物をTakara社へ送付する作業を取りかかる。出て来た配列データを元に、BLASTサーチを行い、細菌群や種を特定する。グラム染色についても未だに成功していない。自作の試薬を用いた方法も検討する。
|
Causes of Carryover |
今年度に予定していた次世代シーケンサーによる細菌群の網羅的解析を次年度に行うことにしたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサーによる細菌群の網羅的解析を実施する。
|