2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25650106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 良一 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90165837)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有核赤血球 / 無核赤血球 |
Research Abstract |
哺乳類の出現と無核赤血球の出現の間に因果関係があるのかを探るため、ニワトリ、アフリカツメガエル、マウスの赤血球を採取し、その形状、4~7μのマイクロ流路の通過能、培養した場合の赤血球の変化等について検討した。その結果、ニワトリとマウスの赤血球は7μのマイクロ流路を通過できるが、マウスのみ4μのマイクロ流路を通過できる事がわかった。 長期間、培養を続けるとニワトリ赤血球の一部から培養基質に接着する有核細胞が出現した。マウスの赤血球は培養しても変化は認められなかった。ニワトリの赤血球は繊維芽細胞を細胞融合させると赤血球の核がDNA複製を開始し、一般の体細胞に戻ることが報告されている。 現在、ニワトリ赤血球の培養により出現してきた基質接着性の細胞が赤血球以外の細胞に由来することを否定する実験、および赤血球が実際に培養基質接着性の細胞に変化することを実証するためタイムラプス撮影装置を用いて長期間撮影しながら培養する装置の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニワトリ赤血球の長期間培養において、培養基質接着性の細胞に変化することを見出した。これが有核赤血球が別の形質を有する細胞に分化したのか、白血球やリンパ球等の既存有核細胞に由来する細胞であるのかを明らかにする必要がある。そのため、タイムラプスビデオ撮影装置を組み込んだ培養装置を構築中である。これを用いて、培養基質接着性の細胞の起源を可視的に明らかにしたい。有核赤血球を末梢血にもつ生物の組織損傷部位での有核赤血球のもつ新たな生物学的機能を検討する上で重要な知見であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
有核と無核赤血球を長期間培養し、その間、定期的にタイムラプスビデオ撮影を行う。同一の有核赤血球が次第に変形し、培養基質接着性の有核細胞に変化することを証明できれば、有核赤血球を末梢血に保有する生物学的意義を明らかにできると考えている。 それが証明できた場合、創傷治癒における再生能の維持を放棄してまで何故、哺乳類は無核赤血球を有するのかが次の疑問となる。今後、無核赤血球のより微細な毛細血管網を通過できるメリットが組織再生能を凌駕するのかについて、明かにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養用タイムラプスビデオ撮影装置の構築途上にあり、当初の予定より細胞培養実験の試行回数が少なかった。今年度早々に撮影装置の構築が完了するので、今後、細胞培養実験を大幅に増やしたい。 消耗品費として生化学試薬、細胞培養器具、培養用試薬および実験動物飼料、床敷、動物代を計上する。また、日本動物学会とアメリカ細胞生物学会への参加旅費を計上する。さらに、論文投稿費用を計上したい。
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Research Products
(2 results)