2013 Fiscal Year Research-status Report
in vitro3次元培養系によるマウス精巣の再構築
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25650108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安部 眞一 熊本大学, 事務局, 理事・副学長 (90109637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 精巣 / セルトリ細胞 / 再構築 / コラーゲン |
Research Abstract |
哺乳類の精巣は、生殖細胞と体細胞から成る精細管とその外側の間組織から成る。我々はコラーゲン内3次元培養系にKSRを添加することにより精細管の再構築に成功したので、この再構築系を用いて精細管の形成機構を調べることを目的とする。 1)培養条件の検討:野生型マウスを用いて、KSR濃度10%と20%を比較したが、1週間後の状態はほとんど変わらなかった。コラーゲンとMatrigelの比較では、コラーゲンでは3日目でKSRの有無によって差が出たが、Matrigelでは3日目まではKSRの有無による差は見られなかった。 2)セルトリ細胞のsortingと極性の同一化の機構:培地にKSRを入れると、セルトリ細胞の凝集塊の外側にintegrinを発現し、ラミニンを分泌するようなセルトリ細胞の極性の同一化を促進する。極性の同一化のしくみを調べるため、integrinの阻害剤であるRGDペプチドや、N-cadherin抗体による効果を調べたが、阻害効果は見られなかった。 3)いろいろな週令の精巣を用いた再構築:生後2週(精母細胞まであり)~4週(精細胞まであり)の精巣でも再構築ができるかどうかを検討した。4週令の精巣では、KSRを加えても再構築はうまくいかなかったが、10日~2週令の精巣では多少遅れるものの再構築は成功した。 4)阻害剤の影響:desert hedgehog (Dhh)シグナリングの阻害剤である ForskolinとCyclopamineをKSR添加培地に投与すると、どちらもセルトリ細胞の凝集、筋様細胞の伸長と分布に対して阻害効果があることが示された。これらの結果は、Dhhシグナリングが再凝集培養における精索構造の再構築に重要な働きをしていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では、Mis-CreトランスジェニックマウスとR26R-RGトランスジェニックマウスを掛け合わせてtamoxifenを母親に注射し、核にmCherryを細胞膜にGFPを発現する子マウスを得て使用するつもりであったが、何故かセルトリ細胞にmCherryもEGFPも発現しなかった。そこで、Sox9 promoter下にEGFPを恒常的に発現するマウスを岐阜大学の秋山治彦先生から供与を受けた。子供は順調に産まれており、セルトリ細胞にGFPが発現しているので、今後の実験に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)live imagingによるセルトリ細胞の挙動の解析 「現在までの達成度」に書いたように、Sox9 promoter下にEGFPを恒常的に発現するマウスの供与を受け、子供は順調に産まれている。このトランスジェニックマウスの精巣を用いて再凝集培養実験を行い、KSRを加えた場合や加えない場合の再凝集過程における生きたセルトリ細胞の挙動をレーザー蛍光顕微鏡で観察・録画し、解析する。 2)野生型マウス精巣の再凝集培養における種々の因子や阻害剤の効果 これまでに効果のあった種々の因子や阻害剤の効果をさらに詳しく調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に予定していた人件費は別のソースから出たが、次年度にポスドク1人の人件費が必要となったため。 試薬代、マウス飼育費、学会旅費、ポスドク1人の人件費等に使用する。
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Research Products
(12 results)