2013 Fiscal Year Research-status Report
生命の初期進化におけるアミノ酸獲得仮説の実験的検証
Project/Area Number |
25650127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市橋 伯一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20448096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミノ酸 / RNA / 実験進化 / アミノ酸獲得仮説 |
Research Abstract |
現存するタンパク質は一部の例外を除き20種類以上のアミノ酸から構成されている。しかし原始生命のタンパク質はもっと少ない数(~4種類)から始まり、進化により徐々に数を増やしていったと推測されている。もし、この仮説が正しければ、生命にとって必須の酵素は20未満のアミノ酸から達成されなければならない。本研究ではこの仮説を実験的に検証するために、独自に開発したRNA自己複製システムを用いて、20未満のアミノ酸からなる酵素が進化するかを検証する。 25年度は、まず進化的に最も新しく追加されたと考えられているトリプトファン、メチオニン、チロシンについて、それぞれ1つずつ濃度を継代可能なぎりぎりまで下げた無細胞翻訳系を用いて、自己複製RNAを約100世代継代した。この継代により、RNAにコードされた複製酵素の各アミノ酸コドンが減少することが期待される。その結果、トリプトファン、チロシンのコドンについては特に変異の導入は認められなかったものの、メチオニンコドンンについては継代を続けるにしたがって変異が蓄積し、メチオニンコドンの数が減少した。最初の配列には11個あったメチオニンコドンは最終的に3個まで減少させることができた。しかしながら、さらに数百ラウンド継代しても残りの3個については変異が入らないことも明らかになった。今後は、残りの3個のメチオニンコドンに集中して変異を導入し、メチオニンのない複製酵素を得ることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたアミノ酸を欠乏させた環境下での継代実験は、一部ながら計画通りに数百世代分行うことができた。しかしながら、得られた結果は予想とは異なっているため、次年度に修正が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
予想と異なり、残り3個のメチオニンコドンについては長期間継代しても減少する様子が見られていない。1つの原因として、現在変異導入を複製エラーのみに頼っていることがある。複製エラーで導入される変異は主に1塩基置換であり、また変異の種類にも偏りがあるため、十分に多様な変異が導入されていないおそれがある。そこで次年度は、残り3つのメチオニンコドンのみをランダム配列にして、その中から複製活性を持つものを選択するという方法を試す。この方法ならば、注目しているコドンについてすべての可能な変異を試すことができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以前のプロジェクトと同じ材料を使用しており、本年度の実験はその余剰分でまかなえてしまったため、本年度の使用額は少なくなった。 次年度では余剰材料はなくなるため、新たに購入する予定である。
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Research Products
(9 results)