2015 Fiscal Year Annual Research Report
非モデル生物を用いた異質倍数体形成を介した植物の種分化の分子機構解明
Project/Area Number |
25650129
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
楠見 淳子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (20510522)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 倍数体進化 / 遺伝的多様性 / 固有種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年と前々年に母島、父島で採集したF. iidaiana(7個体)F.boninshimae (8個体)、F.nishimurae (8個体)、及び静岡県で採集したF. erecta(1個体)の計24個体からDNAを抽出し、RAD-seq解析を行った。Miseqによる塩基配列解析は、1ランあたり4~5個体で行った。各個体あたりの平均有効リード数の値は~590万、検出された遺伝子座数の平均は158482.4、また、サイト当りの平均depthは32.65であった。各種の平均へテロ接合(He)と塩基多様度(πall)は、F.iidaiana が0.1164 / 0.0015, F. boninshimaeが0.1477 / 0.0018, F.nishimuraeが0.1438 / 0.0022となり、3種でほぼ同程度の値が得られた。 さらに、小笠原固有種間の遺伝的分化の程度(Fst)の値を算出したところ、F. boninshimae-F.nishimurae間が0.102, F.iidaiana-F.boninshimae間が0.317, F.iidaiana-F. nishimurae間が0.296となり、小笠原固有種間で遺伝的分化があることが示された。異質倍数体種であるF.iidaianaは他の二倍体種との間のFstの値が非常に高く、これらの間には生殖隔離が成立していると考えられる。また、これまでの核遺伝子の解析からは検出できなかったF.boninshimae-F.nishimurae間にも遺伝的分化があることが示唆されており、RAD-seq解析により多数遺伝子座を用いることで検出力が増大した結果であると考えられる。今後、F.boninshimaeとF.nishimuraeについては、種間だけではなく、小笠原諸島内での分化の有無についても検証したいと考えている。
|
-
[Journal Article] Journal of Theoretical Biology2016
Author(s)
Junko Kusumi, Motoshi Ichinose, Masasuke Takefu, Robert Piskol, Wolfgang Stephan, Masaru Iizuka
-
Journal Title
Journal of Theoretical Biology
Volume: 388
Pages: 96-107
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-