2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム多様性ホットスポットと非S期DNA 合成領域との関連解析
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25650130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 みずき 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70380524)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノム変異 / 非S期DNA合成 |
Research Abstract |
一般的に自然突然変異の頻度はDNA 複製の回数に比例すると考えられている。しかしS期以外の細胞でもDNA合成反応が起きていることが古くから知られており、このことはゲノム上には局所的にS期の複製回数を上回る頻度でDNA合成が行われる領域が存在することを示している。そのような領域では相対的な変異発生頻度が全ゲノムの平均変異発生頻度より高くなることが予測される。そこでマウスの生殖細胞中の非S期DNA合成領域を実験的に分離、同定し、ゲノム領域ごとの変異頻度との関連を解析し、変異率に偏りを生じる要因を明らかにすることを目的とした実験を行った。マウスへのヌクオチドアナログの投与による非S期DNA合成領域をラベルするために、BrdUまたはEdUの規定量を生後8-12週令のオスマウスの腹腔内に投与した。陰性対象群として同じ週令のオスマウスに等量のPBSを投与した。投与から6時間後に各マウスから精巣を摘出し、片方をDNA解析用に凍結保存し、もう片方の精巣をホルマリンで固定パラフィン置換し病理用パラフィンブロックを作製した。精巣の病理標本を用いて標識ヌクレオチドによるラベルを確認した。この際に同一マウス由来の胸腺、腸管も病理標本を作製しS期のDNA複製によるヌクレオチドの取込みを確認して腹腔内投与が成功していることを確認した。精巣のパキテン期の細胞は既にDNA複製を終了してゲノムが倍加しており、相同染色体と対合し組換え中間体が形成されている。パキテン期およびそれ以降の細胞の核に微細な標識ヌクレオチド由来のシグナルを確認し、非S期DNA合成の領域を検出できていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに概ね順調に進んでいる。ただし当初の計画には入っていなかったが、今年度に行った実験の結果をさらに検証するため、すなわちヌクレオチドアナログの投与により検出されたシグナルが本当に非S期DNA合成領域なのかを確認する為に、新たな計画として原理の異なる2つの方法で確認実験を行う準備をしている。そのため次のステップの「目的細胞の分離とゲノム回収」は当初の計画どおり二年度目に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った実験の結果をさらに検証するため、すなわちヌクレオチドアナログの投与により検出されたシグナルが本当に非S期DNA合成領域なのかを確認する為に、当初の計画には入っていなかったが、新たな実験を追加した。原理の異なる二つの方法で確認実験を行う。一般に非S期DNA合成は主にヌクレチド除去修復に伴うDNA合成であると考えられている。ヌクレオチド除去修復の因子であるXPA遺伝子を欠損した細胞では紫外線照射後に非S期DNA合成が起こらないことが知られている。そこでXPA遺伝子欠損マウスを用いて精母細胞のBrdU取り込みの有無を確認する。さらに、ヌクレオチドアナログの投与と同時にDNAポリメラーゼの阻害剤を投与し、シグナルの有無を確認する。以上の検証を行った後に細胞を分離してゲノムを回収し、DNA免疫沈降法を用いて目的領域を回収し、DNAチップ解析を行いゲノム領域を特定する。得られた解析結果を種々のゲノム情報と比較し変異頻度との関連解析を行う。
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Research Products
(5 results)