2013 Fiscal Year Research-status Report
嫌気性真核微生物における新規ステロール代替物質の探索
Project/Area Number |
25650132
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
瀧下 清貴 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (90392951)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 原生生物 / 嫌気 / 細胞膜 / ステロール |
Research Abstract |
ミトコンドリアが退化し嫌気環境に適応している原生生物の1グループであるフォルニカータ生物群の5つの培養株(Carpediemonas membranifera,Ergobibamus cyprinoides,Kipferlia bialata,Dysnectes brevisおよび未記載1種)から脂質画分を抽出し,それをGC/MS解析に供した。その結果,すべての株において,真核生物で一般的に検出されるステロール,繊毛虫や一部の嫌気性原生生物が有しているテトラヒマノール,さらにはそれに相当するような化合物が一切検出されなかった。またC. membranifera,E. cyprinoides,K. bialata,D. brevisのRNA-Seqデータの中にステロールやテトラヒマノールの合成に関与する遺伝子,あるいはそれらと有意に相同性のある遺伝子は確認されなかった。このことから,該当の生物は真核生物特有の柔軟性を維持した細胞膜を有しているにも関わらず,その中にはステロール/テトラヒマノール代替物質は存在しない可能性が示唆された。その一方で,嫌気性ケルコゾア生物(未記載)のRNA-Seqデータ中にテトラヒマノール合成酵素をコードする遺伝子,嫌気性ブレビアータ生物Pygsuia biformaのRNA-Seqデータ中にスポルレン合成酵素をコードする遺伝子が存在することを新たに確認した。このことから,真核生物におけるステロール代替物質の多様性は予想以上に高い可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の嫌気性原生生物の細胞膜中にはステロール/テトラヒマノール代替物質が存在しないことを確認できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ステロール代替物質が存在しない嫌気性原生生物の細胞膜中のリン脂質には,ステロールおよびその代替物質を有している真核生物には認められない特徴が存在する可能性がある。今後は,該当原生生物のリン脂質に注目し,その組成解析を行なう。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会2名分の旅費を計上していたが,実際には1名の参加となったため。 遺伝子解析外注経費に当該助成金を追加し,その解析スケールを大きくする。
|
Research Products
(7 results)