2013 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブレットを用いた昆虫音響モニタリング手法の確立
Project/Area Number |
25650134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立田 晴記 琉球大学, 農学部, 准教授 (50370268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健志 琉球大学, 農学部, 教務職員 (40264478)
高梨 琢磨 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (60399376)
熊野 了州 琉球大学, 農学部, 協力研究員 (90621053)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音声 / イモゾウムシ / ニイニイゼミ / ウエーブレット / 周波数 / 変異 / 時間 / 判別 |
Research Abstract |
・音声データの取得について 八重山諸島のニイニイゼミについては,石垣島と西表島それぞれ3地点において音声収録を行った.石垣島については,バンナ岳,於茂登岳,米原地区手前のポイントで2012年度にも音声収録を行っているが,今回新たに複数の録音装置を用いてデータを追加した.また西表島のポイントについてはいずれもこれまでデータ未収録で,今回初めて鳴き声を収録できた.また米原地区の端にあたる地域で,姿は確認できなかったものの,イシガキニイニイと思われる鳴き声を複数収録した.また1990年代と2000年代に収録したイシガキニイニイの原音ファイルが発掘されたため,これらも含めた解析を実施中である. イモゾウムシについては,音声形質の遺伝率を測定するため,各地域系統の親世代と後代の音声を記録した.音声記録を実施するために新たに設計した防音箱が予定通り納品され,今後の音声収録に活用していく. ・音声波形解析について ニイニイゼミについては,時間領域,周波数領域に関するパラメータを測定し,スコアを比較した.ニイニイゼミ鳴き声の特徴として,1つのフレーズの終盤に周波数転調が生じる事がわかっており,その継続時間は5秒以内であることが今回判明した.周波数転調が種判別の精度に与える影響を調べるため,フレーズ開始後5秒,フレーズ終了前5秒のパルス数や周波数成分を解析,比較した.その結果,フレーズ開始後5秒のピーク周波数にイシガキニイニイとヤエヤマニイニイの種間差が顕著に見られた一方,終了前5秒の周波数成分にそのような違いが見いだせなかった.この結果は今後音声形質の種間差を検出する方法を開発する上で,重要な知見となる. イモゾウムシについては離散ウエーブレット変換後のデータ解析を実施したところ,幾つかの飼育系統間で鳴き声の特徴に顕著な違いがみられることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音声収録については,予定していた防音箱も納品され,室内での録音環境は整った.またニイニイゼミの調査については,現地に一時的に駐在する大学院生に加え,環境省や地元の協力者の方々と連携することで,効率的な調査が実施できている.イモゾウムシでは,音声解析の次に必要な,音に対する反応を見るための操作実験が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
ニイニイゼミについては,新たな生息地の有無を確認すべく,他の生息地のセミ音声も収録し,これまで得られている音声ファイルと照合する.またバックグラウンドノイズの大きい場所で採録された音声(S/N比が小さい)の解析法についても検討を試みる.また音声形質に基づく種間判別の方法について,環境省などの機関とも打ち合わせしながら,具体的検討に入る.イモゾウムシについては手元のデータ解析を進めると共に,発音器官の破壊を含めた操作実験を継続して実施することで,発音と交尾成功との関係を探っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ニイニイゼミの標本調査を実施する予定であったが,時間の都合がつかず実施できなかった.また時間給のアルバイトを雇用する予定であったが,人選がうまくいかなかった. 標本調査は今年度の早い時期に実施する.またアルバイトについても人選の目処がついているので,適切に予定額を執行する.
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