2014 Fiscal Year Research-status Report
放線菌における系統分類と生産物質のデータベース化と新規生産株の簡易検出法の開発
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25650136
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北川 航 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (60415669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Rhodococcus / antibiotics / phylogeny |
Outline of Annual Research Achievements |
ロドコッカス属細菌における抗生物質生産の多様性と進化系統関係についてその遺伝的背景の詳細を知るため、Rhodococcus erythropolisの6株についてゲノム解析を行った。その結果平均して6.6 Mbの染色体、100 - 550 kbの線状plasmidを0 - 2本、5 - 100 kbの環状plasmidを1 - 3個保持しており、染色体の相同性は極めて高いものの(99%以上)、plasmidはその多様性や組み合わせのバリエーションに富んでいることが明らかとなった。系統分類の指標となる16S rRNA遺伝子はそのコピー数は5つで共通していたが、それぞれゲノム内ヘテロ性を持つ事が明らかとなった。これらの配列は99%以上一致していたが、わずかな塩基の差と上記ヘテロ性の組み合わせの差を比較することでぞれぞれの株を個別に識別できることが分かった。しかし通常行われる、ゲノム鋳型、16S rRNAを共通して増幅するPrimerを用いてPCRおよびシーケンシングする方法では、これらを個別に認識することは出来無いことが改めて明らかとなった。またDNAジャイレース遺伝子(gyrB)についてはそれぞれ1コピーであり、やはり塩基配列の相同性は高いものの各株で個別の置換塩基があり、gyrB遺伝子配列解析のみで株レベルの識別が出来ることが確認された。配列中で塩基置換の部位にホットスポットの様なものはなく、またそのほとんどがアミノ酸置換に関わらないサイレントな変異であることがわかった。gyrBのPCR-シーケンシング解析においては出来るだけ長い遺伝子配列を対象にすることが有効であると思われるため、Rhodococcus erythropolis様に改めて有効なPCR Primerを設計した。それぞれの株の抗生物質生産に関わる遺伝子との関連について詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロドコッカスのゲノム構造が非常に複雑であり、詳細な系統分類を行うには完全ゲノムあるいは精度の高いドラフトゲノムが必要となるが、26年度は6株についてこの情報を取得することが出来た。株によっては抗生物質生産性遺伝子も全てを明らかにすることが出来た。系統分類と抗生物質生産性について情報基盤を得る事が出来、ここからはゲノム情報の乏しい株についてもターゲットの遺伝子を絞って解析、データベース化する事が出来る様になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後様々な抗生物質生産株を遺伝子解析し、主にgyrBについてデータを収集する。また文献や公的データベースからも配列情報を入手、整理し、物質生産性と共にデータベース化する。もしgyrBで解像度が足りないような場合はこれに加えてRNA ポリメラーゼ遺伝子(rpoB)を解析し、併用することで十分な解像度を得る予定。文献調査には人数をかけて最新の関連データを多数取得する。
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Causes of Carryover |
データベース作成のため、文献調査、配列情報の収集などについてアルバイト等に謝金をだす予定であったが、26年度はゲノム解析に関わる実験を優先し、謝金として使わなかった金額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、アルバイト等を雇って最新版のデータベースを作成する。27年度の予算も含め、26年度からのこの繰り越し分を謝金に用いる。
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