2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25650137
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片山 泰樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究員 (40549896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物群集構造 / 16SrRNA遺伝子 / 稀少微生物群 / 遺伝子資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の大量DNAシーケンス技術の発展によって、自然環境中の微生物集団には、従来の手法では捉えられなかった稀少微生物群が存在することが明らかとなった。この稀少微生物群は全集団の多様性の大部分をしめており、生態学的重要性や遺伝子資源としての潜在的有用性を秘めている。しかし、大量シーケンス技術でさえ、この相対量の少ない稀少微生物群を把握するには十分ではないことが示唆されている。本研究では、稀少微生物群の探索を目的とし、Cot解析の理論に基づいたDNAの分画手法を用いて、自然環境中の稀少微生物群の多様性を調べた。排水処理に用いる好気活性汚泥を環境試料として用いた。再会合カイネティクスに基づいて分画した稀少菌群DNA試料から、illuminaシーケンス法を用いて細菌をターゲットとした16SrRNA遺伝子配列解析を行い、分画する前の元DNA試料と比較した。その結果、元DNA試料で検出された配列は稀少菌群DNA試料中約60%検出された。残り40%の稀少菌群DNA配列を、データベース上にある細菌種及び環境クローンとの相同性を比較したところ、ほとんどの配列がこれまでに発見されている配列と近縁であった。分子系統解析により、既知配列と相同性が低く配列は、Tenericutes門, Spirochaetae門・Leptospiraceae科等に帰属し、系統樹において既知配列とは異なる分岐を示した。これらの結果から、大量シーケンス技術において検出されない稀少微生物群の多くは、これまでに発見されている配列と系統的に大きく異なる菌群ではないことが示唆された。
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