2013 Fiscal Year Research-status Report
「光らない」ホタルーなぜ弱く光るのか?おしりに目はあるのか?
Project/Area Number |
25650142
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大場 裕一 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40332704)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 摂之 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30283469)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 発光 / 概日リズム / 光受容 |
Research Abstract |
非発光性・弱発光性のホタルについて、その発光の生物学的意義について研究した。具体的には、まずノハラボタル成虫(Pyropyga sp.)の弱発光性について検討した。連続モニタリングによって発光の概日リズムの有無を調べたが、個体ごとにリズムの見られるものと見られないものがあったので、 今後は雌雄差や羽化後の日数などの条件を加味して再検討する必要がある。そのためには、飼育が必要であるが、幼虫期に餌が不足すると(あるいは過密に飼育すると)幼虫期が伸びて、人工飼育下年2化のものが1化になることが示唆された。また、せっかく成虫が羽化しても羽化時期が個体ごとにばらつくと、成虫の寿命が短いために次世代がうまく作れないという問題点も明らかになった。今後の工夫が必要な点である。 オバボタル(Lucidina biplagiata)における尾部発光器については、予想に反し、野外調査を行なったが研究に使用する十分な個体数が得られなかった。一般に、今年度は昆虫の発生が少なかったと言われるが、オバボタルについても発生頭数が少なかったか、採集フィールドの自然環境が変わってしまったか、発生時期が例年と異なっていた可能性がある。採集フィールドの変更も考えなくてはいけない。ノハラボタルについては、日本国内での調査を充実させるために、情報収集のためのウェブサイトを立ち上げた。今後は、ホタル類のゲノム解析など、遺伝子レベルでの網羅的解析も含めて検討して行く必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に使用するホタルの個体数が十分に得られなかったため。採集フィールドの環境変化が原因であれば、早急に別な採集フィールドを探す必要がある。ウェブサイトなどを通じて情報収集を行なっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験に使用する個体数が集まれば研究はさらに進むと考えている。ノハラボタルの飼育は確立できているが、次世代を作ることに失敗しているので、温度や餌の量をコントロールすることで達成したい。オバボタルについては、野外採集個体に依存していたが、今回のように突然採れなくなることがあることがわかったので、今後は飼育についても検討する必要がある。ただし、予備的に行なったところではオバボタルの幼虫の飼育は難しい。最適な餌の検討からする必要がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定の実験生物が予定外に野外から十分に採集することができなかったため、実験が遅れている。また、飼育個体については、飼育法が確立したものの次世代を残して増やす技術が足りなかったために、実験できた回数が少なかった。 使用額は、新しい採集フィールドの探索も含めて野外調査回数を増やすことにも使いたい。実験用の昆虫が集まれば、十分に実験を加速して遅れを取り戻すことは可能であると考えている。
|