2015 Fiscal Year Research-status Report
野外高照度環境下における携帯型近赤外分光法を用いた前頭前野計測法の確立
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25650155
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 良文 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 教授 (40126256)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近赤外分光法 / 個人差 / 前頭前野活動 / 森林セラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系活動の指標としては、室内実験において近赤外分光法(NIRS)がよく用いられるが、フィールド実験における使用法は確立していない。 平成25年度においては、男性20代被験者を対象として実施し、総ヘモグロビン濃度においては、12名すべての被験者において、森林部の方が都市部に比較して低周波帯域(0.03Hz以下)のパワー値が低く、高周波については差異がないことを認め、0.03Hz以下の低周波帯域が環境変化に反応することがわかった。 平成26年度においては、1)計測キャリブレーション時においてフリーズしてしまうケースへの対応、ならびに2)20代女性被験者を対象とした野外夏期炎天下における高照度条件下での計測を試みた。被験者は36名とし、15分間の歩行および座観を行い、述べ144回の計測を実施した。その結果、1)については、端末機器として使用しているPDAに不具合が生じていること、ならびに、2)に関しては、男性被験者に比べて、女性被験者の方が測定できないケ ースが多いことが分かった。 平成27年度においては、上記問題点1)に関して、器機における計測条件を調整することにより改善し、同時に2)における問題点も解消した。さらに、19名の20代女性被験者において森林セラピー時の前頭前野活動計測を行った。森林部において、閉眼時(1分間)と開眼時(2分間)の差異を計測したところ、被験者のパーソナリティによって、その変化が異なることが明らかとなった。つまり、穏やかな性格であるタイプB群被験者においては、前頭前野活動が鎮静化し、激しい性格のタイプA群被験者においては、活動が亢進することがわかった。本知見は多くの科学分野で課題となっている個人差研究の解明にも寄与すると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、長時間のキャリブレーション時間を要したり、フリーズしてしまうこと、ならびに高照度環境下においては、一部の被験者においてのみ計測が可能である等の問題を有していたが、器機における計測条件を調整することにより改善がみられ、同時に他の問題点も解消した 平成27年度は改善された測定機器を用い、19名の20代女性被験者において森林セラピー時の前頭前野活動計測を行った。森林部において、閉眼時(1分間)と開眼時(2分間)の差異を計測したところ、被験者のパーソナリティによって、その変化が異なることが明らかとなった。つまり、穏やかな性格であるタイプB群被験者においては、前頭前野活動が鎮静化し、激しい性格のタイプA群被験者においては、活動が亢進することがわかった。本知見は多くの科学分野で課題となっている個人差研究の解明にも寄与すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、27年度における器機ならびに計測システムの改善により、夏季炎天下条件下においても、計測が可能となった さらに平成27年度においては、19名の20代女性被験者にて森林セラピー時の前頭前野活動計測を行い、被験者のパーソナリティによって、その前頭前野活動が異なることが明らかとなった。つまり、穏やかな性格であるタイプB群被験者においては、前頭前野活動が鎮静化し、激しい性格のタイプA群被験者においては、活動が亢進することが認められた。 平成28年度においては、さらに被験者数を増やすことにより、上記の知見について、普遍化することを目指す。 また、今秋の生理人類学会にて口頭発表を行うとともに生理人類学会英文誌に論文掲載する予定である。
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Causes of Carryover |
計画は予定通りに進捗しているが、論文化に至っていない。そこで被験者数を増やして、論文化するため、期間延長申請を行った。 それに伴い、28年度に実施する物品費、人件費、論文掲載費を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者数を増やして論文化を実施する。 そのため、平成28年度における、物品費、人件費、論文掲載費等として使用する。
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