2013 Fiscal Year Research-status Report
四型分泌機構を利用した革新的植物ゲノム改変技術の確立
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25660007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
守口 和基 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30294523)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 四型分泌系(T4SS) / RK2-T4SS / VirB/D4-T4SS / ジーンターゲティング / oriT |
Research Abstract |
当初は予定通り、酵母への遺伝子導入ツールとして成功したRK2プラスミドの保持する四型分泌系(以下RK2-T4SSと記す)を用い、大腸菌を供与体、イネOc細胞を受容体として生物界間接合反応を行い、安定形質転換体の単離を試みた。植物細胞に対して弱毒性の大腸菌株、バクテリアと混合することにより誘導されるプログラム細胞死を抑えるためpHの安定化などを試したものの、安定形質転換体は得られなかった。また、Oc細胞より大腸菌に対する抵抗性の高いタバコBY-2細胞を用いた反応も試みたが、安定形質転換体は得られなかった。そこで弱毒性大腸菌株に比べ更に毒性の低いアグロバクテリアを供与体として生物界間接合反応を行ったが、やはり安定形質転換体は得られなかった。このことから大腸菌とRK2-T4SSを用いた生物界間接合において、アグロバクテリア並みに細胞毒性を抑えることが出来たとしても、遺伝子導入系として十分用いることが可能な形質転換効率の確保は難しいとの結論に至った。 そこで、T-DNA輸送系で機能し、RK2-T4SSより植物細胞への親和性の高いと予測されるアグロバクテリアのT4SS(以下VirB/D4-T4SSと記す)を利用すれば接合型プラスミドを植物細胞へ導入できるのではとの仮説を立てた。VirB/D4-T4SSを用いてアグロバクテリアからBY-2細胞へRSF1010型およびpBBR1型プラスミドベクターの導入を試みた結果、安定形質転換体を得ることができるようになった。ベクターに保持させた3種のマーカーを利用して比較した結果、pBBR1型プラスミドベクターの方が欠失の割合が低いことが明らかになった。更に移行開始起点(oriT)周辺の配列を含むクローンが得られることから、本研究において必須条件である「移行したベクターの再環状化」が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度のテーマであったRK2-T4SSを用いた「大腸菌から植物細胞への導入効率の最適化」に、目覚ましい効率の上昇は期待できないとして見切りをつけたという観点からは、「遅れている」もしくはそれ以下であろう。一方でアグロバクテリアVirB/D4-T4SSを用いる挑戦を行い、平成26年度の実施テーマであった「再環状化ベクターが挿入された安定形質転換体の単離」を達成したという観点では、平成25年度に前倒しで達成できたことになる。本研究の最大の挑戦はジーンターゲティング法の開発であることを考慮すると、後者のアドバンテージの方が大きいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、安定形質転換体のDNA挿入形態の更なる解析を行った後、ジーンターゲティング検出用BY-2改変株の作成と、専用ベクターの構築を行い、ジーンターゲティング検出に挑戦したい。検出できた場合に次のステップとして重要な点は、1)非相同組換えによる形質転換体の形成効率を減少させること、2)相同組換えによる形質転換体の形成効率を上昇させること、である。相同組換え効率を上昇させる因子を一過的に発現させることにより、更なるターゲティング効率改善に挑戦したい。最終年度においてターゲティング技術を確立し、人員的、時間的ゆとりが生じれば、1)VirB/D4-T4SSを大腸菌で機能させる、2)他のT4SSを利用した植物細胞への遺伝子導入、に挑戦する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
審査後に実際に認められた予算額は当初の申請額の6割強となったため、当初の実験計画で購入予定であったサンプル保存用のディープフリーザーを購入すること難しくなった。学会発表を控え、消耗品の使用を抑えて捻出を試みたが、購入可能な額まで抑えることは研究の遂行上できなかった。現在は、保存用のサンプルバイアルの小型化及び所属する専攻共通利用ディープフリーザーを一時使用することで、問題の顕在化を先延ばししている。 26年度の予算も当初申請の75%となっているため、26年度実験計画遂行のために優先して充てる。具体的には、26年度購入予定の実体顕微鏡用蛍光フィルター及びフィルターカセットの購入に充てる予定である。また、研究に携わる大学院生の人員が当初予定よりも少ない現状のため、人工遺伝子の作製や遺伝子の塩基配列の確認などの作業を外注することへ使用し、研究の遂行スピードを確保したい。サンプル保存の問題が先延ばしの限界に来た場合は、実験の再現性や証拠保存の為には、研究の進行に打撃が出るとしてもディープフリーザーを購入することを優先したい。
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Research Products
(1 results)