2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25660015
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イネ / 高温不稔 / 受粉 / 穂の位置 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,穂の高さと葉群の位置関係が高温不稔に発生や受粉の安定性に及ぼす影響,穂の高さにおける風の強さと受粉の安定性との関係を明らかにする目的で,高温不稔が発生しやすい中国長江大学において,水田を用いたモデル実験を行った.4Lのポットに栽培した開花期のイネ(品種:IR72)をイネ群落(品種:全両優681)の中に設置した種々の高さの台に置くことで葉群内の穂の高さを違えた.開花時に受粉の状態と穂の周囲の環境を成熟期に稔実率を計測し,葉郡内の穂の深さ,穂周囲の環境と受粉・稔実との関係を調べた.本年度は風の強い日が多く,昨年度のデータを補完することができた.強風時には穂が葉群の深い位置にあるほうが稔実率は高く,弱風時に浅い位置にあるほど高かった.2014度の実験では,風は中庸な条件で,稔実から見て最適な穂の深さが認められたことから,稔実には最適な風速があると考えられた.受粉については,2年間の実験を通じて,穂の周辺の風速が0.5ms-1以下になると不安定になることが認められたが,強風条件下では受粉が安定しており,受粉の安定性から強風条件下での稔実の低下を説明することはできなかった.草型の異なるイネを群落状態で栽培した場合には,穂の位置が葉群内の高い位置にある品種や草丈自身が高い品種で受粉が不安定になる傾向が認められ,モデル実験の結果と一致しない.一般に穂の位置が高い品種では,出穂・開花時より穂が傾く傾向がある.そこで,岐阜大学の研究圃場において,ポット栽培したイネを開花時に傾け,穂の傾斜と受粉の安定性との関係を調べたところ,穂が30°以上傾くと,受粉が不安定となることが確認された.以上の結果から,穂の受粉の安定性は,穂の位置だけではなく穂の傾きの影響を強く受け,これが草丈の高い品種や葉群内の穂の位置が浅い品種の受粉が不安定となることの要因の一つであると考えられた.
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