2014 Fiscal Year Research-status Report
イネ品種間競合にもとづくイネ品種の耐雑草性評価手法の開発
Project/Area Number |
25660016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 励一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60229648)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水稲 / 雑草 / 競合力評価 / 品種特性 / ジャポニカ |
Outline of Annual Research Achievements |
有機栽培水田や開発途上国の水田などを想定して、耐雑草性にすぐれた水稲品種を選択したり育種したりすることは古くからあるアイデアであるが、試験田に雑草を再現性よく発生させることは技術的に難しく、これが耐雑草性の定量的評価を困難にしていた。本研究では、水稲品種間の競合試験のデータから品種の耐雑草性を推定する、実用的な方法を開発しようとしている。平成25年度の実験では、イネ品種を混植することにより品種特性と競合力との相関を調べ、草丈と競合力の相関は高い一方、その効果を差し引くと、晩生品種が競合に強い傾向はみられないことなどを明らかにした。 平成26年度は、多様なイネ品種を実際に雑草と競合させ、前年のイネ品種間の競合実験との異同を調べることにした。具体的には、雑草としての競合特性が大きく異なるタイヌビエとコナギを試験田に発生させ、多様なイネ10品種と競合させた。この結果、タイヌビエとの競合ではイネ品種間競合と同様に草丈が重要なファクターとなるが、草丈が低く養分競合が主体となるコナギでは、草丈よりも出穂期(晩生であること)が、イネに優位性をもたらすことが明らかになった。以上の結果は、イネ品種間競合をもって耐雑草性を評価するという本研究のアイデアの有効性とともに、限界(雑草種によっては成立しないこと)をも示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、平成26年度の実験においては、耐雑草性をもたらす品種特性が相手の雑草種によって異なるという結果が得られ、本研究の当初のアイデアの有効性とともに、一定の限界もまた明らかになった。しかしこの雑草種による違いは、実験に用いた雑草種について従来知られている生態的特性から合理的に理解できるものであった。ここまでの結果は当初の期待の範囲内にあり、計画はおおむね順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の最終年度となる平成27年度は、前年と同様の実験においてさらに詳細なデータを得、競合状況の雑草種による競合状況の差異の原因を追究する。これと並行して、背丈が極端に低いイネ突然変異体を用いてコナギのように背丈が低い雑草の効果を代替させることができないかを検討する。
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Research Products
(1 results)