2013 Fiscal Year Research-status Report
カンキツ果実の赤色色素,β-シトラウリンの生合成機構の解明
Project/Area Number |
25660023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 雅也 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10432197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カロテノイド / β-シトラウリン / カンキツ / CCD4 |
Research Abstract |
β-シトラウリンは,カンキツ特有の赤色色素であり,カロテノイドから代謝分解されて生成するアポカロテノイドである。β-シトラウリンを蓄積した果実では,フラベド(果皮部分)が鮮やかなオレンジ色を呈する。これまで、このβ-シトラウリンについては,その生合成経路や関連する酵素遺伝子が未解明である。本研究課題では,カンキツ果実におけるβ-シトラウリンの生合成機構を明らかにすることを目的として研究を行った。 既にβ-シトラウリンを蓄積する‘山下紅早生’と蓄積しない‘宮川早生’におけるβ-シトラウリン含量の季節変化について調査を終えていることから,本研究課題では別の品種を用いた。β-シトラウリンを蓄積する品種として,‘土橋紅温州’,‘クレメンティン’および ‘朱見’と蓄積しない品種として,‘林温州’についてフラベドのカロテノイド含量・組成の季節変化を調査した。‘土橋紅温州’,‘クレメンティン’および‘朱見’の3品種いずれも果実の成熟に伴いβ-シトラウリンの急速な増大が認められた。11月のβ-シトラウリン含量は,3品種の中で‘クレメンティン’ が最も高く,次いで‘土橋紅温州’,‘朱見’の順であった。β-シトラウリンの蓄積に関連するCitCCD4の発現解析を行ったところ,β-シトラウリンを蓄積する品種ではCitCCD4の遺伝子発現の急速な増大が認められた。11月のCitCCD4の遺伝子発現は,3品種の中で‘クレメンティン’が最も高く,次いで‘土橋紅温州’,‘朱見’の順であり、β-シトラウリン含量と一致していた。 以上の結果から,β-Citraurin を集積する‘土橋紅温州’,‘クレメンティン’および‘朱見’ではCitCCD4の遺伝子発現の上昇がβ-シトラウリンの蓄積に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画をしていた‘山下紅早生’と‘宮川早生’について調査は既に終了し,CitCCD4がβ-シトラウリン生成に関わることが明らかになっている。さらに,他の品種においても,CitCCD4の遺伝子発現パターンがβ-シトラウリンの蓄積と関連することを見出しており,当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,CitCCD4がカンキツ果実におけるβ-シトラウリン生合成に関与していることが明らかとなった。今後,CitCCD4の機能や細胞内における局在についても明らかにしていく予定である。また,外生的なエチレンや赤色LEDによる光照射がCitCCD4の遺伝子発現やβ-シトラウリン含量に及ぼす影響を明らかにし,β-シトラウリンの高含有化を追求していきたい。
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