2014 Fiscal Year Research-status Report
カンキツ果実の赤色色素,β-シトラウリンの生合成機構の解明
Project/Area Number |
25660023
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 雅也 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10432197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | β-シトラウリン / アポカロテノイド / カロテノイド / カンキツ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に,果実のフラベド(果皮部分)にβ-シトラウリンを蓄積する‘山下紅早生’,‘土橋紅温州’,‘クレメンティン’,‘朱見’の5品種とβ-シトラウリンを蓄積しない‘宮川早生’,‘林温州’の2品種で,CitCCD4の遺伝子発現解析を行った。β-シトラウリンを蓄積する5品種では,果実の成熟過程においてβ-シトラウリンが蓄積し,それに伴いCitCCD4遺伝子の発現上昇が認められた。 そこで,平成26年度は,上記のような遺伝子発現の差が認められたCitCCD4の機能解析を行った。カロテノイドを生成する大腸菌を用いて,in vivoにおいてCitCCD4の機能解析を行った。ゼアキサンチンを蓄積する大腸菌にCitCCD4を導入したところ,β-シトラウリンが新たな生成物として検出された。一方,CitCCD4を導入したリコペン,α-カロテン,β-カロテンを蓄積する大腸菌では,新たな生成物は認められなかった。 また,CitCCD4のリコンビナントタンパク質を作製し,基質と考えられるカロテノイドとin vitroにおいて反応させた。その結果,CitCCD4は,β-クリプトキサンチンとゼアキサンチンを基質とした場合,β-シトラウリンを生成した。一方,all-trans-ビオラキサンチン,9-cis-ビオラキサンチンを基質とした場合,新たな生成物は認められなかった。 以上の結果から,CitCCD4は,カンキツ果実のフラベドにおいて,β-クリプトキサンチンまたはゼアキサンチンからβ-シトラウリンを生合成する反応を触媒する重要な酵素であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,CitCCD4の機能解析を行った。カンキツ果実のフラベドにおいて,CitCCD4が,β-クリプトキサンチンまたはゼアキサンチンからβ-シトラウリンを生合成する反応を触媒する機能を有していることを明らかにしており,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までに,CitCCD4がβ-シトラウリンを生合成に関わる重要な酵素遺伝子であることが,発現解析および機能解析から明らかとなった。今後,CitCCD4の細胞内局在やCitCCD4の発現を制御する因子について調査を行うことにより,より詳細にカンキツ果実におけるβ-シトラウリン生合成を明らかにしていきたい。
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