2013 Fiscal Year Research-status Report
エチレン-ジャスモン酸クロストークを利用した果実成熟・老化調節技術の開発
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25660028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
牛島 幸一郎 岡山大学, その他の研究科, 助教 (20379720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 龍平 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (70294444)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 果実成熟 / 老化 / ホルモン / RNA-seq |
Research Abstract |
ジャスモン酸の信号伝達の一員で抑制的に働くJAZタンパク質は,エチレン信号伝達のキーとなるEIN3にも結合・抑制し,2つのシグナルのハブとして働くと期待される.エチレンは老化や成熟に関わるホルモンであり,その新たな制御方法として,JAZタンパク質を利用したい. これまでの研究からJAZタンパク質のJASドメインを欠失することでJAシグナルを不全にすることが分かっている.さらなるJAZの制御法を検討するために,JAZの無効化を行うユビキチン化サイトを特定し,他のアミノ酸への置換を通じて,JAZタンパク質の不活性化の阻止を検討した.これまでに,変異コンストラクトを作成し,アラビドプシスでの形質転換実験を行い,遺伝子組換え体も得ているが,実生段階で枯死しており,JAZの機能の変化に対して十分な検証が行えなかった.これに関しては,加えた変異が致死のためか,他の要因なのかをさらに調べる必要があると考えられる. また,トマト果実のSRAやメロン果実のトランスクリプトーム解析を行い,データを得ている.これらに関しては,次年度にさらに解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度については,ユビキチン化サイトに着目して変異を導入し,機能への影響を検証する実験を行った.コンストラクトや形質転換体自体は得られているが,十分に検証を行えるレベルではなかった.また,この枯死が今回の変異導入によるものであるならば,今回の改変方法の効果が強すぎると言うことになる.このことは,変異導入については,JASドメインの欠失が最も現実的な手法で有り,それ以外の改変が非現実的であると言うことを示しているのかもしれない.従って,これらを考慮して条件検討など行い,十分な検証を行う必要があると考えられる. 変異コンストラクトの実験以外にも,トマトやメロン果実のRNA-seqのデータを得ている.これまではJAZ1を対象に解析をおこなっているが,アラビでも12のJAZ遺伝子があり,エチレンに関連するのはJAZ1だけではないと考えられる.それらを検証するためにも,得られたデータの解析を行いたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きユビキチン化サイトに変異を入れたコンストラクトを用いた実験を行う.前年度では本コンストラクトを入れた個体が枯死したことから,効果が強すぎ致死を誘発する変異である可能性もある.このことを考慮して,タバコやトマトからJAZ遺伝子を単離して,JASドメインを欠失させた従来の方法でのコンストラクトの作成と,アラビドプシスやトマトへの導入を検討している. RNA-seqのデータに関しては,前年度はデータを得ただけなので,H26年度は本格的な解析を行う.JAZ遺伝子のカタログ化は当然として,JAZに影響を受ける因子,JAホルモン関係の因子などホルモンのシグナル伝達全般について,解析を行いJAと成熟の関係について解析を行いたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ユビキチン化サイトの変異コンストラクトの実験を複数のステップを踏むことを想定していたが,最初のステップの段階で予想以上の結果が得られて,それ以上のコンストラクト構築や形質転換体の取得などを行う必要が無かったため. 当初は自分で作成する予定だったJASを欠失しただけの変異コンストラクトのトマトの遺伝子組換え体の作出を,効率化のため受託を検討する. また,RNA-seq解析のためのデータベースや解析環境の構築のための機材購入に使用する.
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