2014 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツにおける単一花粉培養法を利用した自家不和合性関連遺伝子の探索
Project/Area Number |
25660029
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
國武 久登 宮崎大学, 農学部, 教授 (80289628)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カンキツ / 自家不和合性 / 配偶体型 / 成熟花粉 / 花粉培養 / プログラム細胞死 / ROS / 花柱タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等植物における雄性側自家不和合性は,柱頭や花柱組織内で起こる複合的な生化学現象のため,機序の解明は極めて困難である.我々は,カンキツにおいて,世界に先駆けて試験管内で和合/不和合の反応を再現できる花粉液体培養モデルシステムを開発し,反応が生じた花粉管からのプロテオーム解析技術を確立した.しかしながら,多数の花粉粒からの発現解析では詳細な挙動を確認することが不十分である.そこで,本研究では,自家不和合様反応が生じた少数花粉からのnano-LC解析による自家不和合性関連遺伝子を同定し,花粉管内で発現する遺伝子の発現解析を行った.まず,選抜した小数花粉において,nano-LCによる網羅的解析を行ったところ,和合処理で14個,自家不和合処理で27個の関連タンパク質を同定した.また,それらの比較により自家不和合関連遺伝子を選抜し,リアルタイムPCRによりその発現について解析した.その結果, copper-zinc superoxide dismutase (Cu/Zn SOD), manganese SOD (Mn SOD), catalase (CAT), and cysteine protease (CYP)の遺伝子発現は,自家不和合様処理において増加した.さらに,カンキツの花粉管内での和合様反応と自家不和合様反応でのROS(活性酸素種)の変化を調査し,ROSプローブであるCM-H2DCFDAの変化を特定したところ,両品種の自家不和合様反応を示す花粉管内での量は和合様処理や対照区と比較して高かった.本研究で得られた自家不和合性関連遺伝子と深い関係があるROSはプログラム細胞死(PCD)の鍵となる誘導要因であり,カンキツ花粉管の自家不和合様反応を誘導するROSカスケードは,PCDプロセスの引き金になっている可能性が高い.
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Research Products
(3 results)