2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンナシ花芽分化期にFT転写が誘導されない要因の解明
Project/Area Number |
25660031
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森口 卓哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所栽培・流通利用研究領域, 上席研究員 (80343945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Flowering Locus T / 花芽分化 / ニホンナシ / Terminal Flower1 / 免疫組織化学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンナシのFT遺伝子が、花芽分化期に明確な発現上昇しない原因について明らかにする。これまで、ナシの花芽分化前、中、後の時期の組織でin situ hybridizationを行い、FT遺伝子の存在様式を明らかにしようとしたが、バックグランドのシグナルが高く、花芽分化の進行に伴う明確なFT遺伝子のシグナルを検出することはできなかった。そこで、免疫組織化学法により、FTタンパク質を検出した。まず、抗FT抗体が正常に作用するかを確認するため、大腸菌でFT遺伝子を発現させてFTタンパク質とし、抗FT抗体を用いたウエスタンブロット解析を行った。強いシグナルバンドが約23Kdaのサイズで検出された。このサイズは、発現ベクターのHATタグのサイズと計算上のFTタンパク質のサイズを合計したサイズに一致したため、抗FT抗体は正常に働いていると考えた。続いて、花芽分化前、中、後の花芽からタンパク質を抽出しウエスタンブロット解析を行ったところ、サイズが約35KDaと、大きいサイズでシグナルが検出された。この大きくなった原因の一つとしてFTタンパク質に糖鎖が修飾している可能性を世界で初めて示した。また、ウエスタンブロット解析で、FTタンパク質は花芽分化の時期にかかわらず一定量存在していることを示した。この結果は免疫組織化学法の結果とも一致した。FTタンパク質の茎頂での存在箇所は、リンゴのMdFTで示されている箇所とも一致した。以上のように、ニホンナシでは、FTは花芽分化の時期にかかわらず一定量存在していること、そして、花芽分化前のTFL1遺伝子の発現低下によるFT/TFL1遺伝子(タンパク質)比の変化が重要で、この低下による相対的なFTの比率の上昇が花芽分化を誘起している可能性を示唆した。
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