2013 Fiscal Year Research-status Report
新奇無細胞タンパク質合成系を用いたサリチル酸受容体の構造解析
Project/Area Number |
25660037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
多田 安臣 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (40552740)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 無細胞タンパク質合成 |
Research Abstract |
大量タンパク質合成系の更なる改良を行った。申請者がこれまでに開発したコムギ胚芽由来のタンパク質合成系は、合成反応液50 uLあたり~0.1 ug程度の合成効率を示していた。これでは、タンパク質結晶化に向けた大量合成は困難であるので、各種条件設定を行い合成効率の向上を目指した。 検討条件は、胚芽からの抽出条件(液体窒素による破砕、ミキサーによる破砕、超音波破砕、バッファー下での破砕)、抽出バッファーのpH(5~9)、アミノ酸の濃度(0.05 mM~0.5 mM)、還元剤の有無(DTT、メルカプトエタノール)等に着目して行った。その結果、コムギの胚芽は液体窒素下で細粉末化し、その後、抽出バッファーを添加し、超音波破砕装置を用いて抽出する手法が最も合成効率が良かった。抽出バッファーは、pH6.5~pH7.5のTris、Hepes或いはリン酸バッファーであるなら何れも効率良く合成可能であった。アミノ酸は、0.1 mMから0.2 mMの範囲内であればそれ以上高濃度であっても大きな差は無いことが分かった。還元剤は1 mM~2 mMの範囲で非処理区と比べ効率は良かった。 また、翻訳を阻害するeIF2αリン酸化酵素の効果を抑制するために、0.01~1 ugまでのeIF2αタンパク質を反応溶液に添加したが、大きな向上は認められなかった。 以上の条件設定により、タンパク質の合成効率は20から50倍は向上した。その結果、50 uLの誘導溶液中に2~5 ugのタンパク質を得ることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、目的タンパク質の大量合成は試みていないが、当初のタンパク質合成効率と比して最大で50倍程度の合成効率を得ることができた。より簡便なコムギ胚芽抽出液の精製法の確立が望まれるが、現状の性状であるなら50 mLの誘導系で数mg得ることが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述した無細胞タンパク質合成系を用いて、SA受容体であるNPR3、NPR4と転写補助因子であるNPR1タンパク質を合成する。結晶化に用いる各SA受容体とNPR1の全長タンパク質の6xHis融合タンパク質は良好な発現をしていることを確認している。精製した6xHis融合タンパク質はプロテアーゼによって6xHis部分を取り除き、さらにゲル濾過、イオン交換カラムなどに供試し、結晶化に必要な純度の発現タンパク質を得る。精製したタンパク質について、NPR1とNPR3/4のそれぞれ単独、SAとNPR3/4、さらにはSA、NPR1とNPR3/4の組み合わせで、それぞれ結晶化を行う。NPR1、NPR3及びNPR4はそれぞれ3種類結晶化を試みるが、どちらか一方でも結晶化に成功すれば立体構造の解明に十分であり、成功したタンパク質についてX線回析を進める。
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