2014 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構造分析に基づく炭疽病菌のゲノム進化と感染特異性の分化機構研究
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25660038
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
久保 康之 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (80183797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭疽病菌 / ゲノム / 染色体 / 系統進化 / 病原性 / ヘテロクロマチン / 感染特異性 / 付着器 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウリ類炭疽病菌(Colletotrichum orbiculare)が帰属するOrbiculare クレード(OC)に属する7種の炭疽病菌のうち C.trifolii, C.sidae, C.spinosumがAT-rich配列が明確なヘテロクロマチン領域を特徴的に有することを明らかにしてきた。一方、OCに属する 7種はマメ科、キク科、ウリ科、アオイ科のいずれかの植物を宿主としているが、分子系統樹に基づく系統関係と宿主特異性の分化には相関は見られない。そこで、本年度はOCに属する入手可能な3種の炭疽病菌の核型解析を行い、さらに分離宿主間の病原性検定により、ゲノム構造の類似性と宿主特異性獲得過程について検討した。 まず、C.lindemuthianum, C.malvarum, C.tebeestii の核型解析を行った結果、 これら3種の炭疽病菌の染色体は顕著なAT-richヘテロクロマチン領域を有し、基本染色体数 n = 10であることを明らかにし、OCはゲノム構造が極めて類似した種から構成されることを明らかにした。また、C.malvarumのゲノム情報解析をおこない、C.orbiculareとのゲノム配列の保存性を見出した。一方、接種試験によりOCに属する6種がC.malvarum の分離宿主であるハナアオイに顕著な病原性を示した。さらに、アオイ科のキンコゴジカ、ゼニアオイ、キク科のオナモミに対しても分離菌株以外の種が感染することを見出し、OCに属する炭疽病菌においてアオイ科植物を感染実験レベルにおいて共通宿主として共有していることを示した。
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