2014 Fiscal Year Annual Research Report
難培養土壌細菌の分離培養法の確立とゲノム情報収集~メタゲノム研究を支えるために
Project/Area Number |
25660046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 重人 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10313074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土壌生物 / 難培養土壌細菌 / ヴェルコミクロビア / 単細胞分取技術 / ドラフトゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
①ヴェルコミクロビア門のドラフトゲノム解析 土壌から分離したヴェルコミクロビア門細菌3株のドラフトゲノム解析を行った。さらにデータベースにて公開されている他のVerrucomicrobia門細菌株のゲノム情報も加えて、Verrucomicrobia門細菌の保有遺伝子の特徴を探った。その結果、Verrucomicrobia門細菌は、他の細菌門に比べ保有するCAZymesの数が多く、保有する糖分解酵素遺伝子の種類にも特徴があることが明らかになった。 CAZymesの中でも、糖の分解に関わる酵素はglicoside hydrolase (GH)およびpolysaccharide lyase(PL)であり、GHはグリコシド結合を加水分解する酵素、PLは多糖を分解(非加水分解的)する酵素である。Subdivision 4はPL遺伝子を多数保有しており、多糖分解のポテンシャルの高さが示された。一方、Subdivision 1、Subdivision 2、Subdivision 3は、CAZymes遺伝子は多いもののGHおよびPLの割合は特別に高くはなく、Subdivision 4との糖代謝ポテンシャルの傾向の差異が認められた。 ②共培養系からの難培養性土壌細菌の分離 セルソーターを用い、クロレラの共培養により継代されている土壌細菌コミュニティから、典型的な難培養性細菌のグループであるプランクトミセテス門細菌を分離を試みた。2000を超える細菌細胞をマイクロウェルプレートに分取し、クロレラを添加して培養した。その結果、クロレラとプランクトミセテス門細菌(単一クローン)との共培養が得られていることを確認した。分離されたプランクトミセテス門細菌はいずれも新属新種に相当するものであった。しかし、この共培養の中ではプランクトミセテス門細菌の生育速度が非常に小さく、継代に耐えられずに消滅した。プランクトミセテス門細菌の継代培養には、クロレラだけではなく、他の細菌の介在が必要であると考えられた。
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