2013 Fiscal Year Research-status Report
Sphingomonas sp.の生産する異種微生物生育因子の単離・構造決定
Project/Area Number |
25660051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三橋 進也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任講師 (60526672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生方 信 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60168739)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 難培養性微生物 / 生育因子 / 真正細菌 / 単離 / 構造決定 |
Research Abstract |
環境場における多くの微生物は、未だに培養困難であり、その機能も不明なままである。難培養性微生物の培養技術や保存手法の開発は、未知微生物の機能解析及び遺伝子資源としての活用や、感染症の新規治療法の糸口に繋がり極めて重要である。そこで我々は、異種微生物同士が環境場において、未知の生育促進因子(情報伝達物質?)の授受をしていることに着目し、どのような化合物で相互作用しているか明らかにすることで、難培養性微生物の生態解明のブレークスルーになると考え、以前、活性汚泥より分離されたSphingomonas sp.GF9株が生産する、AST4、ASTN45及びASN212株に対する生育因子の単離・構造決定を目指した。 まず、10リットル容ジャーファーメンターを用いて、NPB培地(1.0% Tryptone, 0.3% Yeast extract, 0.5% Glucose, 10 mM K-PO4 Buffer [pH 7.0], 4 mM MgSO4)で大量培養を行い、66リットルの培養物を調製し、そこから種々のカラムクロマトグラフィーを用いて生育促進因子の単離を目指したところ、物質量が不足し、単離するまでには至らなかった。そこで、生産量の増大を目指し、ジャーファーメンターの培養条件である、温度並びに撹拌速度と生育促進活性の関係を調べ、生産に適した条件を見出した。また、培地成分の生産メーカーや濃度と活性との関係を調べ最適化した後、活性と培養時間の関係を調べて生産条件を決定した。また、100リットル容のジャーファーメンターを使用できる状態に実験環境を整えた。 次に分画を進めていく中で、対AST4株生育促進因子をHPLCにおいて単一ピークになるまで精製することが出来た。現在、各種機器分析で構造解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tryptone並びにYeast extractの生産材料、生産メーカー、そして培地における濃度を変化させ、結果、改良NPB培地を決定した。つぎに温度や撹拌速度を検討することで、前年度比で3倍の生産量を達成することが出来た。それに加え、丸菱社製100容ジャーファーメンターでの培養を安定的に出来るようになったために、絶対量で10倍の生産効率を達成した。 それらの試みと精製操作の洗練で、AST4株に対する生育因子は二年目で構造決定出来る目処もたった。
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Strategy for Future Research Activity |
各菌株に対する生育因子は異なるものであると考えられるためにAST4株以外の菌株に対する生育因子の単離・構造決定を行いたい。出発材料の調製は効率的に行えるようになったために、今後は精製操作を工夫し、目的の達成を目指す。また、AST4株に対する生育因子も複数存在する可能性があるために、一つ目の生育因子の同定した後、精査していく。さらに、生育因子が一対一であるのか一対多数であるのかも、活性汚泥菌叢を用いて調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
10リットル容エバポレーター用に-80度高出力冷却トラップを購入予定であったが、真空ポンプをオイルポンプからダイヤフラムポンプに変更したところ、その必要性がなくなったために、冷却トラップを購入しなかったため。 単離操作において、LH-20カラムクロマトグラフィが大変に有効であることが明らかとなった。しかし、500グラムで30万円と極めて高額である。LH-20を使用することは良い結果を生み出すため、残予算を見極めながら更なる購入を行う。また、国際学会であるIUMS(カナダ・モントリオール)には、ぜひ参加したいが、45万円ほど必要なため、研究費を次年度に繰り越した。
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